神奈川県公立入試英語の攻略法と勉強のコツのすべて

2015年7月9日

今日は公立トップ校を目指している人のための、入試英語の攻略法と勉強のコツについてをまとめていきます。これから本格的に始まる受験勉強の参考にしてください。

入試英語のツボ

入試英語の配点分析

まずはH27年度の神奈川県公立入試の英語の配点と内容を整理しましょう。

問1 リスニング (18点満点)
問2 適語補充 (6点満点)
問3 適語選択 (8点満点)
問4 並び替え (12点満点)
問5 条件英作文 (8点満点)
問6 条件英作文 (8点満点)
問7 長文読解 (12点満点)
問8 短文・資料読解 (12点満点)
問9 長文読解 (16点満点)
合計 100点満点

これを分野別に配点をまとめてみると、次のようになります。

・リスニング(問1 18点満点)
・語彙+文法(問2〜問4 26点満点)
・英作文(問5〜問6 16点満点)
・読解問題(問7〜問9 40点満点)

このことからわかるように、神奈川県の公立入試で最も配点が大きいのが後半の読解問題です。神奈川県だけでなく、ほぼ全ての都道府県の公立入試や私立入試でも同様のことが言えます。つまり、入試英語攻略のカギは、読解問題でいかに高得点がとれるかにかかっているといっても過言ではありません。

英語が得意な人は、読解問題で落とさない

英語がきちんと読める人は、滅多に読解問題で点数を落としません。なぜなら、高校入試レベル、しかも神奈川県の公立入試レベルの読解問題は、英文をきちんと読めてさえいれば、設問自体は非常に楽に解ける問題が多いからです。

「英語がきちんと読めれば、読解問題で点数を落とさないのは当然じゃん」と思う人もいるでしょう。では、英語と同じく読解問題が多く出題される国語の場合を考えてみてください。国語の現代文は日本語で書かれています。我々日本人は、皆日本語が不自由なく読めるはずなのに、国語の現代文読解では点数を落としてしまいます。なぜなら国語の読解問題は、接続語や対比、キーワード等から論理的に考えていかなければならず、設問自体が楽に解ける設計になっていないからです。

公立高校入試(一部の独自問題を除く)の英語読解であれば、国語の読解問題のように、文章を論理的に考えながら解くようなテクニックはほとんど必要ありません。繰り返しますが、長文さえきちんと読むことができて、長文や設問の意味が理解できれば、あとはほんのわずかなテクニックだけで簡単に解けてしまうのです。

上位校受験生は英語で高得点を取るのが当たり前

公立上位校を受験する人のほとんどは英語で高得点を取ります。英語での満点率、あるいは満点にこそ届かなくても90点代率は他のどの科目よりも高いでしょう。実際、うちの塾でも、H27年度公立入試での英語の塾生平均点は93.3点、H26年度では86.3点と、入試問題が劇的に難化したこの2年間でも、英語の平均点は5教科の中で最も高く安定しています。

後半にある配点40点分の長文読解を攻略する力をつければ、入試の難易度にそれほど左右されることなく、英語で高得点をたたき出すことができるのです。

入試英語の勉強フロー

じゃあ早速配点が大きい長文読解に取りかかろうと思う人がいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。英語は、積み上げ型の科目です。きちんとした順序で基礎から積み上げずにいきなり長文読解に手を出したとしても、失敗するのは目に見えています。

神奈川県公立の入試英語攻略の勉強フローは大まかに次の通りです。

語彙・文法・和文英訳

短文読解

長文読解

条件英作文

語彙・文法・単純英作

英語の勉強は、全ての基盤となる語彙・文法・単純な和文英訳から始めます。神奈川県の入試英語の問2〜問4にあたる部分です。これらを1つ1つ勉強していくのではなくて、3つを平行しながら同時に勉強していくと良いでしょう。単語だけ覚えてもそれを使う機会がないとすぐに忘れてしまうし、文法だけ覚えても単語が書けないと和文英訳ができないからです。英語は、一つ一つの勉強を独立して行うのではなく、すべてリンクさせなければいけません。

うちの塾では、毎回の授業で『文法特訓』と称した入試演習問題を実施し、問3の適語補充と問4の並び替えの訓練を継続して行っています。それと同時に、条件英作文の基礎段階として単純な和文英訳も行います。日本語から正しく英語に直す力なしで、条件英作文はできません。

参考:うちの塾で使用している文法特訓サンプル(7月文法特訓3回目)

問2〜問4を5分程度で解けるように

問2〜問4を解く時間を出来るだけ短くすることで、後半の配点が高い読解問題に多くの時間をかけることができます。入試や模試で英語の点数が悪い人の典型的な例は、前半に時間をかけすぎて、配点が高い後半の読解問題の途中でタイムアウトになってしまっています。長文読解攻略のカギは、実は前半の文法問題の時間の短縮にあることを覚えておきましょう。

ちなみにうちの塾では、先ほどの文法特訓を7月現在は7分程度で解けるように訓練しています。これを繰り返していくと、早い子は入試本番で問2〜問4までを3分足らずで、問6までの条件英作文を含めても8分もかからずに解くことができ、問7〜問9の読解問題に30分以上費やすことができるようになります。

短文読解

中3内容の英文法を全て勉強し終え、ある程度の語彙・文法・単純和文英訳の力が付いてきたら、短文読解から読解問題の対策を始めます。短文読解がきちんと読めるようになれば、長文読解はそれほど苦労しません。ただ単に文章が長くなるだけですから。

短文読解のはじめの段階で気をつけることは、英語を英語のまま捉えて読んでいくことです。英語→日本語に変換しながら読んでいくと、それだけタイムロスになってしまいます。今の子はルー大柴なんてよく知らないと思いますが、私が短文読解の授業をするとき、「ルー大柴みたいな言葉で訳すので良いから、英語の構造のままで読んでいけ」と指導します。

たとえば、”I read a book written in easy English yesterday.”という、過去分詞を使った単純な英文を読むとき、わざわざ「私は昨日易しい英語で書かれた本を読んだ」というように訳していると、英語を読んだあとにもう一度文の後ろから読んでいくことになってしまい、非常に時間がかかります。しかしこれを、ルー大柴のように、「私は/リードしたんだよ/ブックを/イージーな英語で書かれたヤツを/昨日」というように捉えても意味が分かるように訓練することで、英語から日本語への変換によるタイムロスを大幅に減らすことができるというわけです。

もちろん最初からうまくいきませんが、日本語に訳したくなるところを我慢して「ルー語」で読む訓練を重ねていくうちに、英語を英語のまま捉えられるようになります。加えて、このような読み方をしていると、英語の文構造が理解でき、文法の力も向上していきます。

長文読解

短文読解である程度英語を英語のまま捉えられるようになったら、次は長文読解です。長文読解でも基本的に読み方は同じなので、あとはどれだけ速く読めるかどうか、設問にきちんと答えられるかどうかの訓練になります。設問の答え方は、簡単な国語の読解問題と基本的に同じです。設問の答えとなる根拠を本文中から探し出し、線を引いていく。テクニックとしては、ただコレだけです。

先ほども述べたように、公立高校入試で特に英語の長文読解のテクニック的なものはほとんど必要ありません。しかし、限られた時間内で長文を読んで理解できる読解スピードは求められます。読解スピードを身に付けるための最適な勉強法が多読です。英語の長文をたくさん読めば、英語独特の表現や構造に慣れていくことができ、速く読めるようになります。

多読と言っても、じゃあ「星の王子様」などの英語版の本を読めば良いのかというと、そうではありません。多読に最適なのは、全国の公立高校の入試問題の長文読解を解くことです。都道府県は違っても、公立高校(一部の独自入試問題を除く)ならば、長文読解の長さや難易度にそれほど違いはなく、しかもテーマが「友達」「環境」「ボランティア」「将来の夢」など似通ったものが多いので、入試の長文対策の多読としてはうってつけです。

全国高校入試問題正解 英語(2016年度用)を用意し、1日1つでも良いから長文を読んでいくこと。47都道府県制覇する頃には、読解スピードは十分速くなっているでしょう。ちなみにうちの塾では、10月頃から全国入試問題正解を使った長文読解トレーニングを始めます。

条件英作文

単純和文英訳をコツコツと続けてやっていればの前提ですが、条件英作文は12月〜1月くらいから取りかかるのでも十分間に合います。この頃になると、文法力・語彙力も完成しつつあるので、条件英作文の勉強もしやすくなるはずです。逆に言うと、文法力・語彙力がままならない状態で条件英作文のトレーニングをしても、ほぼ無駄に終わる場合が多いので注意しましょう。

まとめ

『夏前』から受験勉強を始めた者が受験を征する!夏前からやるべき理由とやっておきたいこと。でも書きましたが、夏の終わり〜どんなに遅くとも秋までにはある程度文法や語彙を形にできるように勉強しておきましょう。そうすると、秋以降に短文や長文読解などの、入試での配点が最も高い部分を時間をかけて勉強できるようになります。逆に、文法や語彙を秋以降までほったらかしにしてしまっては、最も配点が高い読解問題の勉強時間が少なくなってしまい、入試で点数がとれないのは火を見るより明らかです。

塾生の中で英語が苦手な人は、夏の間に3月から今まで文法特訓の総復習をすること。また、入試頻出英単語1〜5までは最低限確実に書けるようにしておきましょう。