中3生なら知っておきたい中3成績1つ分の本当の価値。

定期テストが近いので、中3生と2者面談を行い色々と話をしています。中1や中2生のテスト前面談では、定期テストの勉強の仕方や進捗具合についての話が中心になりますが、中3生に対しては入試のこと、志望校のことなどが話の中心になります。定期テストも、結局は入試に繋がっていますからね。中3生で入試を意識しない定期テスト勉強をしても意味がありません。

昨日の面談である中3生と話をしていたとき、あまりにも入試制度に対して知識がないことに驚きました。ただ、当然と言えば当然かもしれません。私は毎年受験に関わっていますが、中3生はこれが生まれて初めて臨む受験ですからね。

ただ、受験は「知らなかった」では済まされないこともたくさんあります。正しい情報を知っておくことで行動できることもたくさんあります。少しずついろんなことを伝えていくので、きちんと受験を理解していってください。

今日は、これから中3最初の定期テストを迎える君たちに、「中3成績1つ分の価値」について話をしたいと思います。

志望校の選考基準を知ろう

神奈川県の公立高校の選考基準は、内申:学力検査:面接の割合が「3:5:2」や「4:4:2」など、それぞれの高校によって違うということは知っていますよね。

自分の志望校の内申:学力検査:面接の割合が3:5:2なのか4:4:2なのかくらいは、中3生であればちゃんとわかっていると思います。もしそれすら把握していないのであれば、今すぐに調べてください。県の教育委員会のサイトからも確認できますが、カナガクさんが毎年分かりやすく簡潔にまとめてくれています。
[blogcard url=’https://kanagaku.com/archives/20244′ width=” height=” class=” style=”]

4:4:2よりも3:5:2の方が学力の割合が高いことはなんとなく理解できても、どれくらいの違いがあるのか、どのように数値化されるのかは分かっていますか?今日の本題はこの部分です。

選考基準の割合が持つ本当の意味

特色検査実施校を除く神奈川県の公立入試は、実は1000点満点で点数が付けられ合否が決定します。この1000点満点というのは内申点・学力検査・面接の合計点で、各高校がそれぞれの配点をルールの範囲内で自由に決められます。

3:5:2の場合は、内申点300点+学力検査500点+面接200点=合計1000点満点

4:4:2の場合は、内申点400点+学力検査400点+面接200点=合計1000点満点

ここで疑問に思いませんか?神奈川の場合、内申点は中2成績45点+中3成績45×2=135点満点じゃないの?なんで300点満点や400点満点になるの?って。同じように学力検査は100点満点×5教科の500点満点なのに、400点満点ってどういうこと?って。

そうです。実際の内申点や学力検査の満点の数値と、選考基準の満点の数値は異なります。これらの満点の違いが、公立入試の選考基準を分かりにくくしている正体でもあります。

3:5:2の場合、内申点は300点満点なので、実際の成績135点満点を300点満点に換算します。300÷135=2.22…なので、実際の成績を約2.2倍すると、300点満点での内申点に変換できるということです。

4:4:2の場合は、400÷135=2.96…となり、実際の成績を約2.96倍すると、400点満点での内申点に変換できます。

つまり、3:5:2の割合の高校の場合、通知表の成績1ポイントが、実際の入試1000点満点中の2.2点に、4:4:2の場合は2.96点に相当するということになります。

中3成績1つ分が持つ価値とは

「内申点が低いとその分学力検査で点数をとらなければいけないから不利になる。」ということは、塾の先生や保護者の方から散々言われていると思うので知っている人も多いと思いますが、ではどれだけ不利になるのか、中3生の成績を元に実際に計算してみましょう。

3:5:2の高校の場合、成績1つ分=1000点中の2.2点となります。中3の成績は2倍されるので、1000点満点の方も2.2×2=4.4点となります。一方学力検査は、実際のテストの満点も選考基準の満点もどちらも500点満点なので、学力検査の1点=1000点中の1点と変わりありません。つまり、3:5:2の高校の場合、中3成績が1つ違うと、入試得点で4.4点差が付くのと同じということになります。

一方4:4:2の高校の場合、成績1つ分=1000点中の2.96点となります。中3の成績は2倍されるので、2.96×2=5.92点となります。4:4:2場合、学力検査は実際の500点満点を0.8倍した400点満点に換算します。中3成績1つ分の5.92点は、実際の500点満点の学力検査で5.92÷0.8=7.4点分に相当することになります。

4:4:2の高校を志望校にしている皆さん、成績1つ分が7.4点分ですよ。

もし自分の中3成績が38だとして、自分と同じ高校を受ける友達は40だったとします。その差はたった2ポイントです。「なーんだそれくらい、学力検査で挽回してやるよ」と思うでしょう。

良い意気込みです。でも実際、そのたった2ポイントの差を覆すためには、その友達より14.8点以上とらなければいけません。つまり15点以上です。合計点数が15点も違ったら、偏差値1は余裕で変わってきます。友達が400点だったら、自分は415点です。たった2ポイントが、これだけの差になるのです。

まとめ

今年の12月頃になれば、君たちはきっと1点でも伸ばそうと必死で受験勉強に勤しむことになるでしょう。模試を繰り返し受けると分かると思いますが、合計得点を10点上げるのでも相当苦労します。それを考えたら、7.4点分ってどれだけ貴重か。3:5:2の高校でも同じです。4.4点でもバカにできません。

もちろんこれは1次選考の話で、内申点を考慮しない2次選考という10%枠もあります。でも、今の時点で10%の2次選考枠は考えるのは、戦略として間違っています。今は、きちんと定員の90%の1次選考枠で合格することを考えなければいけません。

最終的には学力検査の結果で合否は決まりますが、その学力検査が悪かったときに自分を救ってくれるのは内申です。

内申たった1つで、これだけの差が付くということを頭に入れて、定期テスト勉強なり普段の提出物なり毎日の授業なりに取り組んでください。

以上です。