点数がとれない原因は、課題なのか苦手なのか、どちらなのか。

2014年12月16日

入試まであまり時間がなくなってきたこの時期、苦手科目の克服に躍起になっている人が多いだろう。苦手科目は得意科目と違ってなかなか点数を伸ばすことができないが、苦手科目を克服することができれば、合格に大きく近づくことができる。そこで今日は、受験勉強における苦手科目の克服の仕方について書いてみようと思う。

それは課題科目なのか、苦手科目なのか

一言で「苦手科目」と言っても、実は苦手科目には2パターン存在する。それは「苦手科目」と「課題科目」の違いだ。たとえば理科の点数が伸び悩んでいるとしよう。模試を受けてもいつも100点満点中30点くらいしかとれない。その場合、点数がとれない原因が何かをまず考えるべきだ。

もしも、ほとんど勉強をしてこなかったせいで30点くらいしかとれないならば、それは苦手科目ではなく課題科目だ。勉強量を増やせば確実に点数は上がる。しかし、今まで一生懸命理科を勉強してきたのにもかかわらず、30点くらいしかとれない場合、それはもう苦手科目としかいいようがない。苦手科目の場合、単純に勉強量を増やしただけでは点数は上がらない。苦手科目においては勉強量を増やすことよりも、まずは勉強のやり方を変えてみるべきだ。

苦手科目の中にも、得意単元はあるはず

課題科目なら、勉強量を増やすことで点数は上がるが、苦手科目となると厄介だ。時間のコストパフォーマンスから考えれば、いくらやっても点数が上がらない苦手科目はいっそのこと切り捨ててしまい、その代わり他の科目を伸ばすことに専念した方が良いケースもあるが、特にトップ校や上位校を目指す人の場合、苦手科目を完全に切り捨ててしまうことはなかなかできない。

苦手科目を少しでもマシにするためには、苦手科目を細分化して考えると良い。
たとえば先ほど例に上げた理科なら、一言で理科と言っても「物理」「化学」「生物」「地学」の4単元がある。さらに「物理」の中にも、中1物理・中2物理・中3物理の3つに分かれているので、高校入試に必要な理科の単元は全部で12個に細分化できる。

もしも理科が苦手科目だとしても、細分化して考えれば、ほとんどの人が「この単元なら比較的大丈夫」と思える単元があるはずだ。そういう単元を重点的に攻めていくことで、30点を50点くらいには持っていくことができる。特に暗記ものが中心の単元は、ほとんどの人にとって苦手科目ではなく「課題科目」だ。理科で言えば生物や化学などの暗記事項。これを確実に覚えていく。化学の計算が多少できなくたって、最初はそんなことは気にしてはいけない。簡単に克服できそうなものからどんどん攻めることが大切だ。

簡単に克服できそうなもの、頑張って覚えればなんとかなるものを全て克服した後、克服しきれていない単元をもう一度見つめ直してみよう。「これ以上は本当にお手上げ」というなら、それがその科目の勉強の潮時だ。いっそのことバッサリと切り捨ててしまい、他の得意科目の点数を伸ばすことに専念した方が良い。

入試は5教科の合計得点が大切

入試は5教科の合計得点で競う。苦手科目で点数が極端に悪くても、他の科目でカバーできれば良いのだ。昨年度、小田原高校を受験した生徒のなかに、1人思いっきり数学が苦手な子がいた。いくら一生懸命勉強しても、なかなか数学が思うように伸びない。数学は彼にとって「課題科目」ではなく、「苦手科目」だった。

そんな彼に対して、数学がたとえ100点満点中50点でも合格できる方法を考えようとアドバイスした。彼の持っている内申点なら、5教科で370点くらいの点数がとれれば、特色検査次第で小田高には合格できる。数学で50点しかとれなくても、他の科目で80点以上とることができれば十分合格できる。

「苦手科目」の数学の中の「比較的大丈夫」な単元をあぶり出し、そこだけを重点的に勉強したことで、数学50点はクリアできた。50点をクリアした後は、数学の勉強はそこそこにして、社会や理科で9割を取ること目標に徹底的に勉強した。得意科目は勉強した分だけ伸びやすいし、受験間近の時に点数がなかなか伸びない苦手科目を延々と勉強するよりも、自分が好きな科目を勉強した方が精神衛生上にも良い。結果、彼は作戦通り入試本番でも数学が50点台だったが、それでも他の科目で点数を稼ぎ、小田高に合格していった。

苦手なものに対してこのような考え方ができれば、時間の使い方も上手くなるし要領の良さも身につく。受験には根性も必要だが、根性以上に必要なのは要領と戦略だ。根性で苦手科目と黙々と格闘するよりも、苦手科目とどう向き合うか、どう切り捨てるかを考えた方が、5科目の総合で見れば上手くいくことが多いだろう。