学力だけでは決まらない受験学力

2012年7月4日

今週からうちの塾では保護者面談が相次いでいるのだが、ここ数日で何かと保護者の方に話をさせていただくのが「受験学力と学力は違いますよ、お母さん」ということ。ということで、今日のブログはこのエントリーに決定。

中学受験、高校受験、大学受験と、学校に入るための受験には、実は単純に学力だけで決まる受験はないと言ってもいい。それぞれの受験には、学力+何らかの力が必要になる。

例えば中学受験で必要なのは親力。近頃の中学受験は、子どもだけでなく家族が一丸となって受験に臨まなければいけないようだ。大手の中学受験塾には、お母さんが家庭で子どもの勉強を見る専用のテキストがあるほど。まだ小学生の子どもの勉強の進捗具合や理解度を管理するのはお母さんの役目。その他にも、模試の点数の分析や、勉強計画の管理、志望校の分析や傾向と対策を立てる仕事もほぼお母さんのお仕事になる。上位校ほど、子どもの学力+親力が試されるのが中学受験だろう。

↑こんなタイトルの本が出回っているほど。

では高校受験の場合はどうか。さすがに高校受験には、親力はそこまでいらないです。親が勉強を管理しなくなる分、自分が自分の勉強を管理したり、自分の状況を分析したりする必要が高校受験(大学受験もだけれど)にはある。つまり、高校受験には、「学力」と「自己管理能力」と「自己分析能力」の3つの力が必要なのだ。

「自分は数学で点数がとれそうもない。だから、得意な英語で点数を稼いで、数学の失点を補えるようにしよう。あ、でも英語だけが点数の稼ぎ頭というのは不安だから、社会も人並み以上にとれるようにしないとな。よし!英語と社会を武器に戦っていくぞ。」
と、このように、自分の状況を客観的に分析し、受験の戦略を立てられる力が自己分析能力。
「 じゃあまず英語の単語と文法を夏までに終わらせよう。夏以降に長文の対策をして、10月頃から本格的に過去問に取り組んでいこう。でも自分は人より暗記が苦手だから、この参考書を2周はやらなければいけないな。」
と、このように、 自分で勉強の計画を立て、それに沿って行動が出来るのが自己管理能力。

学力だけ高くても、この2つの力が備わっていなければ、高校受験や大学受験はあまりうまく行かない。「この子はやれば出来ると思うんですが、なかなか伸びないんです」と相談に来る親御さんの子どものほとんどが、3つの力のうち学力だけしか備わっていないタイプ。やれば出来る学力はあっても、やれる自己管理能力や自己分析能力がない。だから伸びない。

でも、世の中に出て本当に必要になる力って、学力よりも、あとの2つの力の方だと思う。高校受験は、子どもがこの2つの力を鍛えられる絶好の機会。親や塾の先生が、君はこうだからこうしなさいああしなさいとやいやい言うのではなく、子ども自身に自分を客観視させ、分析させ、そして行動させるようにしないといけません。