子どもを一人前にするには、厳しい世界に飛び込ませるしかない

2012年10月7日

塾をやっていると、いろいろな親子関係を垣間みることができる。いつまでたってもベッタリと依存し合っている親子、程よい距離感が取れている親子、中学生の子どもに対してまるで小学生のように話しかける親、お母さんに言われないと何もできない子どもなどなど。中学生って昔からこんなに幼かっただろうかと思うほど、精神的に幼い子どもが増えているなと感じることがある。中学生だけではなく、高校生や大学生、しいては社会人にいたっても、「外見は大人、中身は子ども」のまるで逆コナンのような人が多くなっている印象を受ける。

いつまでたっても一人前になれない子どもが増えている一方で、世間では大人顔負けな程一人前な子どももいる。かつては石川遼君や浅田真央ちゃんなんかがそうだった。若干17歳で一億円プレーヤーとなり、世間を騒がせた当時の石川遼君の立ち振る舞いから、彼がまだ高校生だという事実に驚いた人は私だけじゃなかったハズ。最近だと、ピアニストの牛田智大君も12歳とは思えないほどの逸材。ベビーフェイスな顔立ちだが、インタビューの受け答えを聞いていると、この子の中に小さな大人が入っているのではないかと思うほど立派な話し方をする。ちなみに、牛田君の好きなアイドル(?)は作家の重松清でAKB48は知らないらしい。通学中に読んでいるのは日経新聞だとか。全く恐ろしい子どもだ。

なぜ、石川遼君や牛田君のようなスポーツや芸術の世界で活躍している子どもは、こうも一人前に成長するのだろうか。

きっと、厳しい環境が彼らを大人に成長させたのだと思う。幼少時から、我々凡人には想像し難いような厳しい練習を耐え抜き、子どもだからという言い訳が一切通用しない大人の厳しい環境で揉まれ続けた経験が、彼らの精神年齢をぐっと引き上げたのだろう。

子どもは誕生日を迎えるにつれて自然と大人になっていくのではない。子どもの置かれている環境が、子どもを大人へと成長させる。大学生や社会人になっても自立できない大きな子どもが増えたのは、自立しなくても生きていける生温い環境で育てられるケースが増えたからだろう。そういう環境のもとでは、自分が大人にならなくても周りが世話をしてくれるので、大人になる必要もないし、なろうともしない。

子どもを一人前に育てるには、子どもが大人にならざるを得ない環境に飛び込ませるしかない。何もプロのスポーツ選手や芸術家のようないばらの道に進ませろということではなく、普通の人生を歩んでいても、厳しい環境をいくらでも作ることができる。甘えが許されない環境、歯を食いしばりながらも頑張り抜く経験を、子どものうちにどれだけ積むことができるか。どれだけ子どもを突き放すことができるか。子どもが子どものまま育ってしまうか、一人前に育つかは、親が子どもに与えてやる環境次第なのだ。