厚木高校2015年度特色検査研究:分析と対策法をまとめてみた

来年度の入試のために、そろそろ2015年度の特色検査研究をまとめていきたいとおもいます。記念すべき第1回目は厚木高校です。厚木高校を目指している人は、是非熟読して参考にしてください。

ちなみに、2015年度の厚木高校特色検査のダウンロードはこちら
問題 / 模範解答

問題構成

2014年度との比較

厚木の問題構成は大問2問から成り立っていて、2015年度の特色検査は、1つ目は英語の長文読解、2つ目は理数の問題(厳密に言うとただの理数ではありません。この辺は後ほど詳しく触れます)が出題されました。2014年度の厚木の特色検査は大問3問の構成だったので、2015年度は大問が1つ削られたことになります。小問数はというと、2014年12問→2015年11問と1問の減少です。

大問は3問→2問になりましたが、問題の印刷ページは2014年度同様に2015年度も6ページです。このことから、大問1問に対する問題量(リード文含め)が増加したということが分かります。ちなみに、2015年度は印刷ページ6ページのうちの4ページがリード文で、設問は残りのたった2ページに集約されていました。つまり、2015年度の厚木の特色検査は、設問を解くために読まなければいけない文章量が例年よりも増えたということになります。「1科目に10000字を超える文字数の入試問題!その狙いと攻略法は?」で、共通入試が文字数の圧力がかかる設問構造になっていると書きましたが、2015年度の厚木の特色検査も、共通入試と同様に文字数の圧力がかかる設問構造になりました。

大問1:英語長文読解の分析と対策法

さて、それぞれの大問を細かく分析していきましょう。

読解量が多く、設問はほぼ英文和訳要約

大問1は英語の長文読解です。過去2年環境がテーマの長文読解が出題されていましたが、今年はガラッと雰囲気が変わって電子書籍がテーマでした。テーマが変わることは別にたいした影響はありませんね。

先ほども述べたように、今年の厚木高校の大きな変化は読解量の多さです。例年であれば、英文の読解量は約1ページにも満たないほどだったのですが、今年は2ページに渡ってギッシリと英文が印刷されてあります。長文自体の難易度はというと、他の都道府県の公立入試の長文に毛が生えたような程度で、厚木を受検するようなレベルの生徒にとっては、特に難しいという印象はないでしょう。小問は記述式が多いのですが、これはほぼ英文和訳の要約のようなもので、英文がきちんと読み取れていれば問題なくクリアできると思います。

全国入試問題の英語長文読解を解きまくろう

厚木の大問1の英語は、特色検査っぽさはなく、ほぼ学力検査に近い性質があります。ただし、神奈川県の英語の入試問題とは少し設問の性質が異なるので、是非全国入試問題正解を使って他の都道府県の英語長文読解を解きましょう。それで十分厚木の大問1に対する力は付くはずです。

厚木の大問1の攻略のポイントは、語彙数とスピードです。注釈の量が通常の公立入試の2倍以上はあるので、語彙力が乏しいといちいち注釈と本文を行き来しながら読むことになり、読解スピードが格段に落ちてしまいます。ただし、注釈に書かれている単語は、決して難解な英単語ではありません。うちの塾で使用している単語帳に全て書かれているくらい、中学生であれば知っていて当然のものばかりです。注釈に頼らずに読めるくらいの語彙力を普段から身につけつつ、全国入試の長文読解レベルを多読しましょう。そうすれば、読解スピードは速くなるハズです。

厚木志望者は、大問1を全問正解できるレベルに英語を仕上げましょう。ここでどれだけ得点を確保できるか、また時間をかけずに後半の大問2に臨めるかが厚木攻略の鍵です。

大問2:理数問題(本質は異なる)の分析と攻略法

実際は情報処理の能力が試されている

後半の大問2の分析です。

2015年度の大問2は、DNAの塩基とらせん構造がテーマでした。DNAの塩基とらせん構造は、高校生物で学習する内容なので、中学の指導範囲にはありません。ですが、全くDNAも塩基もらせん構造も何も知らなくとも、中学で習う数学の解法知識さえあれば、問題を読み進めていくうちに解けるように工夫されています。この問題のように、高校内容を中学生レベルでも解けるように工夫して出題するような問題が他の学校の特色検査でも頻繁に見かけられます。

高校で習う内容を中学生でも解けるように工夫するとなると、DNAの塩基とらせん構造のしくみについて、何の知識もない子でも問題が解けるようにしっかりと説明してあげる必要があります。そうすると、リード文が必然的に長くなるのです。今回の問2のリード文も、英語長文読解とほぼ同じ分量の2ページ強に渡って書いてあります。

ポイントは、このリード文に書かれた内容を制限時間内でしっかりと理解できるかということ。そりゃそうでしょう。中学内容であればまだしも、一部の生物オタクを除いて誰しもが見たことも聞いたこともない内容です。知識があるかどうか、きちんと中学内容を理解しているかどうかなんて全く関係ないのです。そういう意味では、この大問2は理数の格好をした「情報処理」の問題と言うことができるでしょう。ちょうど、昨日紹介した公立中高一貫校の適性検査とほぼ同じ種類の能力が試される問題なのです。

適性検査やそれに似た類似問題で、情報処理型の問題演習を行う

この問題に対する対策法は、情報処理型の問題に対応できる力を高めていくしかありません。昨日の記事にも書きましたが、まずは公立中高一貫校の適正検査や、それに類似した問題を解きながら、情報処理型の問題はどのように読み進め、どう解けばいいのかを練習することから始めましょう。

中高一貫校の適性検査レベルが解けるようになったら、今度は県内の他の高校の特色検査や他の都道府県の総合問題の中の情報処理型の問題を解きながら、情報を読み解き整理しつつ中学で習った知識・解法と組み合せる練習を後半から重ねていくといいです。

ただし、今年情報処理型の問題が出題されたからと言って、来年度も必ず出題されるとは限りません。たとえば2014年度の厚木は、ガッツリと理社の知識・解法が必要で、逆に言うとそれさえあれば難なく解ける問題が出題されたように、学力検査延長型の問題に戻ったとしても対応できるくらいの5教科の力は必要です。それに、それがなければ、たとえ特色検査で得点を取れても学力検査で得点がとれず、結局不合格になります。