数学が苦手な人が、分からない問題にぶち当たった場合の対処法。

2017年11月3日

今日は、数学が苦手な人が、分からない問題にぶち当たった場合の対処法についてです。

長年塾で数学を教えていますが、何を隠そう私はもともと生粋の文系人間で、学生時代数学はあまり得意な方ではありませんでした。学生時代の苦手科目でありながら、今はメインで教えている科目でもあるので、苦手な人の対処法は他の担当科目以上に心得ているつもりです。

数学に苦手意識を持っている人は、是非参考にしてください。

数学が苦手な人が、分からない問題にぶち当たった場合の対処法

問題と格闘する

まずは、分からないなりにも、とりあえずアレコレと考えてみましょう。さっぱり見当がつかない場合でも、図を書いてみたり線を引いてみたり、手を動かしながら色々と試してみることが大切です。それが全然間違っていることでも構いません。

どうせ自力では解けずに後で解説に頼るとしても、自分で苦労をしてから解説を読むのと考えずにすぐに解説を読んでしまうのでは、答えがわかった時の腑に落ち方がまるで違います。本当に苦労した問題は、「そうか、こうやって解くのかー」と解説に感動すら覚え、深く記憶に刻まれるのです。

ちなみに、効率の良い勉強法を説くサイトや本なんかで「5分考えて答えが分からなかったらすぐに答えを見て、解き方を覚えなさい」と書いてあるのをよく目にしますが、あれは受験まであと残りわずかしかない、国立大受験などで取り組む科目が多く数学に時間をかけてられないなど、めちゃくちゃ切羽詰まっている場合のみ有効な方法です。

寝かせる

かなりの長い時間問題と格闘したけれども、さっぱり解けないのであれば、一旦考えることをやめ、一晩問題を寝かせてみましょう。そして次の日にもう一度同じ問題を解いてみます。そうすると、昨日は気がつかなかった部分に気がついたりして、あれだけ苦労していたのが嘘のように簡単に解けたということが少なくないはずです。

一晩寝かせてみても分からない場合、次の段階に行きましょう。ただし、非受験学年や小学生など時間に余裕がある場合、もう一晩寝かせてみるのもアリです。考える時間が長ければ長いほど、解法もまた記憶に深く刻み込まれます。

解説をちょっと読む

解答解説がある問題であれば、ちょっとだけ解説を読んでみましょう。多くの問題は、解説を全部読まなくても大丈夫なはずです。最初の数行を読んだだけで、あとは自力で解けるということがよくあるので、分かった時点で解説を読むのをやめましょう。

解説を読んだ部分までが、自分の理解が足りなかったところです。こうすることで、どんな知識や視点が足りなかったのかが分かるようになります。

解説を繰り返し読む

解説を全部読んでも分からなかった場合は、繰り返し読んでみます。一度読んで分からなかったからと、諦めてはいけません。繰り返し読んで分かる部分を少しずつ増やしていきます。国語や英語の勉強のように、声を出して音読してみても良いかもしれません。このとき、解説を読みながら紙とペンで実際に解きたくなる衝動に駆られますが、そこはぐっと我慢します。

そしてやれそうになった時点で、解説を閉じて自分で実際に解いてみましょう。

解説を繰り返し読んだはずなのに、解けなくなるポイントが出てくるはずです。そのポイントこそが、炙り出された「理解していない核心部」です。その核心部に絞って、理解ができるまで解説を読みましょう。

解説を書き写す

解説を何度も読んだけれど分からないという人が次にするのは、解説を書き写すことです。理解ができなくても、解説を書き写すくらいはできます。「そんなのは意味がない」という人もいるかもしれませんが、できる人にとって意味がないことでも、できない人にとっては次に進むための重要なステップです。本当に理解ができていない場合、ただ正確に書き写すことだけでも結構難しいことがよく分かります。

その際、途中式や考え方はもちろんのこと、解説に書かれてある図や表も何もかも書き写しましょう。途中の計算が省略されているところは自分の手で実際に計算して補いながら、正解までの道のりを完全に再現します。

書き写すことができたら、今度はその内容にまで少しずつ踏み込んでみます。それが証明の問題だったら幾つのパートに分かれているのかとか、方程式だったら何をxと置いたのかとか、図形問題だったらどこに補助線を引くだとか、そういう小さなことでも良いので、少しずつ中身の理解に踏み込んでいきます。

書き写すことでコツを掴めた、ということはよくあるので、解けそうなら自力で挑戦してみます。解けなさそうな場合は無理に解こうとせずに、もう一度解説を見ながら最初から書き写してみます。2度目の方が1度目よりも、時間をかけずにスラスラと書き写せるようになっていることに気がつくはずです。

数日後にまた取り組んでみる

数学が苦手な人が意識したいのは、「一気にできるようにしようとしない」ことです。薄ーく層を塗り重ねながら厚くしていくようなイメージで、何度も取り組みながら少しずつ理解していきます。

上記のやり方で解けた問題に、数日後にまた取り組んでみます。もしかしたらまたできないかもしれません。しかし、確実に理解は1回目より進んでいて、分からない部分の幅も狭くなっているはずです。完璧に理解ができないのなら、また数日後に取り組んでみます。

こうやって、層を厚くしていくのです。

理解は後からやってくる

暗記科目ではない数学には「理解」が必要です。これはもう絶対的に。
しかし、数学が苦手な人の場合、最初から完璧に理解できる状態に持っていくことは大変です。そもそも最初から理解できていれば、数学が苦手にはなっていないはずです。

数学が苦手な人が最初に意識することは、「理解する」ではなく「解ける」状態を目指すことです。いわゆる暗記数学と揶揄されるものですが、最初は多少理屈が分からなくても、そこはぐっと堪えてとりあえず反射的に解けるようになるまで反復練習をしましょう。これが「解ける」状態です。

ただ、理解していないのに解ける状態だと、それこそ応用が効かなかったりするし、忘れてしまったら一巻の終わりです。しかし、とりあえず解ける状態にしておくことで、理解するための余裕が生まれます。

例えば、三角形の面積を求める公式の「底辺×高さ÷2」を初めて習ったときに完璧に理解している小学生がどれだけいるでしょうか。理解ができていなくても、ドリルを何度も反復したりして、解けるようにはなります。そうなった後でふと、「じゃあなぜこの公式になるのか」と、疑問に思う余裕が出てきます。理解を伴わないで解けるようになった「モヤモヤの状態」が、理解するための思考を促すのです。

理解は後から付いてきます。数学が苦手な人こそ、まずは解ける状態を目指すべきです。