人生で初めて見つけた希望を簡単に諦めるんじゃない。

2017年10月28日

10期生の英語が酷いです。10月の第4回の全県模試でも英語の平均偏差値が60ちょうどと、数学の68よりも8ポイントも差が付いています。毎回続けている文法特訓の平均点も、昨年度までの卒塾生と比べてもかなり低い。「文法特訓は必ず復習を。なぜそうなるのかを自分で説明できるように」と言い続けてきたものの、結局サボっていた人がほとんどという状態で、そりゃ結果も出ません。

今日はそんな10期生に向けて、昨年度の卒塾生のことを記事にしたいと思います。

湘南合格生も、英語ができなかった

今年の春、湘南高校に合格した卒塾生がいました。彼女も英語ができませんでした。

「湘南に合格した」なんて言うと、多くの人が「最初から頭良かったんでしょ」と言います。偏見や妬みも本当にいい加減にしてもらいたい。

ちょうど今の時期、中3の秋くらいになっても、なかなか英語の文法特訓で点数が安定しません。彼女の文法特訓の答案用紙をよくよく見てみると、中1中2の基本的な文法からグラついていました。そりゃ文法特訓や模試で点数が安定してこないはずです。

湘南受験者の英語の平均点は毎年90点を軽く超えます。ということは、多くの子が満点か、それに近い点数を取っているということになります。このブログでも何度も書いていますが、トップ校に行く生徒にとっては、中学3年分の範囲からしか出題されない公立高校の英語の問題はカンタンそのもの。いくら教育委員会が知恵を絞って難度を上げたって、トップ校受験生のほとんどはいとも簡単にそのハードルを乗り越えてきます。英語の平均点が理科を抜いて5教科最低になった2016年度だって、偏差値70の学力層の生徒の英語平均点は、むしろその前の年より伸びていたくらいです(伸学工房調べ)。

入試は5教科の合計点勝負だから、英語で満点近くを簡単に稼げる受験生が多い中、英語ができないということは、満点を取りにくい理科や社会ができないということよりも、トップ校受験生にとっては思いっきり不利になります。特に湘南は特色検査もある。英語の出題は厚木や柏陽に比べて決して多くはありませんが、それでも湘南の受験生は、特色検査でも英語の部分できちんと点数を稼ぎます。

500ページのテキストを2ヶ月でやりきった

もうそんなに時間がないと思った私は、秋の面談のときに、彼女に「中2中3のテキストを全部やり直そう。加えて文法特訓を毎日1枚必ずやろう。」と提案しました。うちの塾で使っている英語のテキストは塾用テキストのウィンパス。塾関係者ならご存知だとは思いますが、A4サイズで1学年あたりページ数は250ページ程。2学年分となると約500ページもあります。

彼女は、必死に頑張りました。その日からただの1日たりとも休むことなく、入試の日まで毎日毎日文法特訓を継続しました。ウィンパス2年分500ページも、12月にはほとんど終了していました。もちろん、英語ばかりをやっていたわけではありません。同じく苦手な社会も人一倍やっていたし、数学の10問テストも、文法特訓同様に入試の日まで1日足りとも欠かさずに取り組んでいました。

すると、ウィンパス2年分をやり終えた12月ごろからだんだんと文法特訓の点数が安定し始め、模試でも結果が出るようになりました。英語で点数を稼げるようになってからは、5教科の点数も安定し、結局入試の開示得点は9期生の中で1位でした。

「湘南に行ったんだから、そりゃ1位でしょ」と思う人がいるかもしれませんが、彼女は在塾時、塾内で毎回1位だったわけではありません。9期生の厚木勢3人も同じくらいの力があったから、むしろ1位をとれたのは全12回の模試の中で2回のみ。

それでも、合格手帖に記されている勉強時間合計は、間違いなく9期生の中でダントツ1位でした。それも、「先生に心配をかけてはいけないから」という理由で、実際の勉強時間よりも少ない時間を偽って合格手帖に記入していたほど(あとで保護者の方から本当の話を聞きました)。

10期生に言いたいこと

これを読んでいる10期生のみんな、何が言いたいかわかりますか。

「やってもできない」「復習してもできない」と泣き言ばかり言っている人。それならまだマシで、やってもいないのに「できない」「点数が上がらない」と言っている人。

それだけやってるのですか?みんなであれば名前は分かっているでしょう。湘南に合格した先輩ほどやっているのでしょうか?

やってないですよね?確実にやっていないです。彼女の努力量、勉強量と比べても比べ物になんかならないし、比べること自体が失礼なレベルです。

何も考えず、何も行動せず、「点数が上がれば良いな」「志望校に受かれば良いな」とただ願っているだけの人間が、彼女と同じくらいの結果を残せるハズがありません。

努力努力というと、ただの精神論になってしまいそうですが、私も思考が停止した精神論は好きではありません。勉強は「量」じゃなくて「質」とよく言うし、私もその通りだと思います。

でも、勉強時間がゼロでは、質もへったくれもあったもんじゃない!行動さえしていないのに、質がどうのとか言えるもんじゃない!!

自分の弱点をあぶり出し、それを一つ一つ丁寧に埋めていく。忘れてはまたやり直し、やり直してはまた忘れ、自分が嫌になりながらも、それを愚直なまでに繰り返していく。その途方もない作業には、かなりの時間がかかるんです。たとえそんなに時間をかけたくなくても。他にやりたいことがたくさんあっても。彼女のように、事実を隠したくなるほど、気の遠くなるくらいの時間がかかるんです。

そして、その気の遠くなるほどの時間と努力の先にしか、希望はないのです。

いいですか。

初めて自分の人生の「進路」というものを考え、いろんな高校に見学に行き、せっかく自分で見つけた人生で初めての志望校です。

もっともっと大事にしなさい。

自分の努力不足のために、人生で初めて見つけた希望を簡単に諦めるんじゃない。

最後に

最後に、彼女のお母様から卒塾時にいただいたメッセージを紹介します。

正直言いますと、娘も私も、受験後、合否の発表すら気にならなくなる程に、受験や勉強そのものに対して途轍もない達成感、充実感に満ち溢れています。熱心な先生方、優秀な生徒さんたちに囲まれて、常に良い緊張感を保った素晴らしい環境下で、必死に取り組むことができました。合格はあくまでも少しだけのご褒美。この先、必ず何らかの形で、「あの時頑張ってよかった」「あれだけ頑張れた」と思えるようなことがあるはずです。

努力する大切さを教えていただいた先生方に、心より感謝申し上げます。