小田高の塾対象説明会に行ってきた。

本日、小田原高校で行われた塾・予備校対象説明会に参加してきましたので、そのご報告です。(※長文です)

最初に触れておきますが、私立高校が生徒募集のために塾対象説明会を開くことはあっても、公立高校が塾や予備校関係者対象に大々的に説明会を開くことは、特にここ神奈川県では非常に珍しいことです。

そういうこともあり、5月に小田原高校の副校長先生から直々に塾対象説明会へのお誘いのお電話がかかってきたときはどうしたものかと訝しんでいましたが、先日の県教委からのH30年度入試選考基準発表を受け、なるほどなと腑に落ちました。とは言え、一方的に選考基準を変えただけではなく、きちんとその経緯を我々塾関係者にも伝えようとされることに、とても誠意を感じます(←上から目線ですみません)。

通された会場は小田原高校自慢の集成館ホール。

受付で参加者の先生方の名刺をガン見チラ見すると、○英予備校や中○学院、STE○、臨海セ○ナーなどの大手塾からの参加者が大多数を占めていました。そんな中で、よくこんな小さい塾にも直々に電話をかけて誘ってくれたことに感謝せずにはいられません。ありがとう、小田原高校。

選考基準変更の背景

まずは反町校長先生のお話から。反町先生は昨年小田原高校に校長として着任され、今年で2年目になるそうです。説明会で使われていたパワーポイントのスライドも、校長先生が自ら今日の説明会のために作成されたとのこと。普通、こういう説明会では、校長先生は冒頭1〜2分くらいさらっと挨拶程度の話をして、あとは他の先生にバトンタッチというケースが多いのですが、反町校長先生は、自ら作成されたスライドを使用して、1〜2分どころか40分間ガッツリと熱弁されていました。めちゃくちゃ気合いの入った校長先生です。

学力重視からの転換

新しい入試制度となってから5年経ちましたが、これまでの小田高の選考基準は、一次選考で「内申:学力:面接:特色検査=3:5:2:2」、2次選考で「学力:面接:特色検査=8:2:2」と、他の多くの学力向上進学重点校同様、一貫して学力重視の比率+特色検査というスタイルでした。それがH30年の入試では、特色検査廃止かつ「内申:学力:面接=4:4:2」と大きく方向転換することになります。

方向転換するに至った背景について、「小田高のさらなる飛躍のために、地元の受験生をまずはきちんと集め、小田高でしっかりと育てようというためです」と反町校長。

新しい入試になって5年間、小田高の入試倍率は2015年度の1.32倍を除いて毎年のように県の平均倍率を下回り、低迷の一途を辿っています。加えて、大学進学実績も昔と比べるとイマイチぱっとしない。

「この選考基準の変更により、受検生の学力層や性質に変化があるのかないのか、正直やってみないと私もわかりません。もしかしたら数年後、あの時の校長はとんでもないことをしでかしたと言われるかもしれない。しかし、これまで同じように3:5:2の基準と特色検査を実施してきて、現状は何も変わらなかった。だったら、思い切って選考基準から見直してみようということで、過去のデータを全て調べました。」

と、校長先生自ら並々ならぬ覚悟で、今回の改革に踏み切ったとのこと。

特色の勉強よりも、5教科の基礎基本の勉強をしっかりと

「過去のデータを調べてみると、5教科の学力検査と特色検査に明らかなる相関関係が見られました。5教科がしっかりと出来ている子は特色検査でも得点出来る。だったら特色検査を廃止してしまっても良いのではないかと。そして、中学生には、特色検査にかかる勉強時間を、基礎基本の習得のために使って欲しいと思っています。4:4:2への変更も、中学3年間の学習活動をより重視することで、中学生に、『特色検査よりも、5教科の基礎や学校の勉強をより大切にしてね』というメッセージを発信するつもりです。」

確かに小田高だけでなく、他の高校であっても、5教科の学力と特色検査には強い相関関係があるということは、このブログでも何度も書いてきました。だから特色検査対策の前に、5教科の勉強を大切にしろと。5教科が出来ていないうちは、特色検査対策なんてやっても無駄だと。うちの塾でも、特色検査対策なんて、塾生の5教科の基礎が完成していないうちはほとんどやりません。

ただそうは言っても、やはり特色検査があると、受検生や保護者は相当気にしてしまい、5教科の基礎も完成していないのに、各塾が主催する「特色検査対策講座」なるものに人が集まり、あんまり意味のない勉強に時間とお金を削がれてしまいますからね…。

倍率アップ+5教科入試得点のアップ狙い

説明会で直接言及はされなかったものの、今回の選考基準変更の裏には、低迷する入試倍率をどうにかしたいという意図も見え隠れします。

前述の通り、小田高の入試倍率はここ最近は低迷状態が続いています。入試倍率が低くなると、合格ボーダーも低くなり、小田高の授業についていけない学力層の受検生も合格してしまう。また、入試の合格者平均点も下がってしまう。つまり、倍率の低迷状態が続くということは、学校に入学する生徒の質も下降の一途を辿っているということになり、学校のレベルの低下へと繋がっていきます。

特色検査を廃止すれば、受検生の負担も軽くなり、言い方はアレですが、小田高を今よりも“気軽に”志望できるようになります。その気軽さが、小田高人気復活の呼び水になればという策でしょう。

実際、校長先生はこうもおっしゃっていました。
「小田高の5教科の入試平均点は、他の学力向上進学重点校よりも各教科で10点くらい低い。合計点でも他の重点校では450点近くとっているのに比べて、小田高は400点やそこら。5教科の入試平均点を、もう少しなんとかしていきたい。」

特色を廃止し、気軽さを打ち出し、倍率を上げることで平均点を上げ、入学者の質を保ちたいという意図もあるのだという印象を強く受けました。

入り口だけではない小田高全体の校内改革

「基礎学力が確立された生徒を、高校3年間でしっかりと伸ばします。それが小田高の使命です。」と校長先生が力説されていたように、校長は何も入り口の入試のみ変えているのではないようです。

小田高のさらなる飛躍のために、着任初年度から次々と校内改革に着手しているとのこと。校長先生のあとに説明していただいた、進路指導担当のめちゃくちゃ熱い渡辺(伸)先生の話も交えて、その一部を紹介します。

小田高伝統の90分授業廃止→70分授業へ

小田高の代名詞(?)とも言えるながーい90分授業を反町校長は着任1年目でなんと廃止!思いきりがすごいですね、この校長先生。

1コマを70分授業とすることにより、授業時間のスリム化と効率化を実現。また、従来の1コマ90分×17コマの週当たりの授業時間を、1コマ70分×24コマにすることで、週当たりに150分の授業時間増となり、授業時間のスリム化と同時に授業時間数増加を成し遂げたというワケです。これを年度途中でやってしまう行動力に脱帽です。

夏期講習をはじめとする補講・補習の充実

2017年の夏期講習の講座一覧。64もの講座がズラッと並ぶ。

夏休みに無料で受けられる夏期講習の講座を充実させたり、土曜授業を取りやめて土曜補講とし、より大学受験で役に立つ実践的な内容を受けられるようにしたりと、補講や補習をこれまでより一層充実させ、大学進学実績の向上、生徒一人ひとりの進路の実現に向けてバックアップをしているとのこと。

ちなみに、これだけの補講が各教科充実しているのも、(予算と人員が普通科高校よりも多く充てられる)単位制高校ならではの魅力。

小田高生3年次失速防止策

「小田高生は確かに優秀だが、3年次に失速するー。」

そう言われてきた原因は、3年生の履修放棄の多さ。2年生に登録したものの、受験に関係のない科目は途中で履修を放棄してしまう生徒が多くいたとのこと。これによる生活リズムの乱れ、学習面での失速などが問題となっていたことから、最後まできちんと履修するルールを敷いたとのこと。

正直このルールがどこまで実績を押し上げる要因になっているかは定かではありませんが、改革の一つとのことです。

感想

ここに書ききれていないことはまだまだありますが、長くなり過ぎてしまったのでそろそろ終わりにします。また機会があれば、小出しにでもしていきます。

ここからは、今回小田高の説明会に行ってみた個人的な感想です。

この記事「H30年度は小田原ショックの年!小田原の入試2大変更による影響はいかに!?」を書いたときは、正直小田高の今回の基準変更に対して批判的で、Twitterでも結構なdisった内容のツイートばかりしていました。すいません。

ただ、今回の小田高の説明会に行ってみて思ったことは、こんな塾関係者対象の説明会をわざわざ開き、うちの塾みたいな風が吹けば吹っ飛ぶくらい規模の小さな塾にまでわざわざ電話をかけて招待をし、校長先生自らパワーポイントの資料を作って40分間しゃべり通すくらい、小田高は本気なのだということです。

本気で改革をやろうとしていて、本気でそれを周囲に分かってもらおうとしているんだということです。

正直に言うと、まだまだいくらでもdisることはできます。特色をやめてしまったら、今の秦野のように平塚江南や厚木の受け皿に甘んじてしまわないのか。4:4:2にしてしまったら、本番に弱く内申だけとるのが得意な、実力のない「指定校推薦型狙っちゃうタイプ」の割合が多くなり、国公立の実績を押し上げることにはならないのではないか。などなど。言い出したらキリがありません。

でも、最後の質疑応答で、私がしたこのような辛辣な質問にも、校長先生が「やってみないと分からない。もしかしたら、そうなるかもしれない。でも、この手詰まり状態から脱却するために、勇気を出して変えていかなければいけない。」とおっしゃったことが印象的でした。

小田高がこの先どうなるか分からないけれど、覚悟を持ってそういう選択をした小田高を見守っていこうという気になりました。

説明会の後、1年生から3年生までのすべての授業を見せていただきました。小田高生の皆様、今日オッサンとオバサンの団体がぞろぞろ歩きながら君たちの様子をジロジロ見ていたのはそのためです。気を散らしてごめんなさい。でも授業中寝てる子、起きた方がいいよ。

なかなか、こんな見学を塾関係者に許可してくれる学校もありません。小田高の雰囲気は、確実に変わっているということを肌で感じました。

それにしても、小田高はやっぱり綺麗だ。

スポンサー広告

URL :
TRACKBACK URL :

コメントする