想像力を復興に繋げるために。今だから小中高生に読んでもらいたい震災関連の本7冊。

先週、熊本で大きな地震が立て続けに起こりました。あれから毎日のようにテレビで震災関連のニュースが放送されています。

震災のような大きな災害が起こった時、私たちは「自分が何ができるか」を考えます。ある人はボランティア活動に行ったり、募金をしたり、物資を送ったり。そう言えば今日、小田原駅近くに設置された熊本地震の募金箱の中に、小学生くらいの男の子が一人、自分の小銭入れから小銭を取り出して募金している光景を目にして、心が暖かくなりました。

このような大変なときに、私たちが一番大切にしなければいけないこと。それは「想像力」だと思います。被災された方、避難生活を余儀なくされている方、家族を亡くされた方、被災者支援に携わっている方々の気持ちを想像すること。想像力こそが、復興やこれからの日本の未来への原動力になります。そして想像することの一番の手助けになるのが読書です。

今日の記事では、過去の震災をテーマにした小中高生に読んでもらいたい7冊の本を紹介します。熊本で大変な震災が起こった直後の今だからこそ、震災をテーマにした本を読んで、震災で被害にあわれた人々の気持ちを想像してみてください。震災でどんなことが起こったのか、知ってみてください。

読書も、私たちができる復興への一つの方法です。
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「希望の牧場」森絵都

中高生に大人気の小説家で、絵本作家でもある森絵都さんが書いた「希望の牧場」。東日本大震災後の原発事故により、立ち入り禁止区域になってしまった牧場にとどまり、そこに取り残された牛たちを守りつづけようと決めた、牛飼いの姿を描いた一冊。震災、原発問題だけでなく、命について、人間の都合について、そしてタイトルにもなっている“希望”について、深く深く考えさせてくれます。小学生中学年程度から十分読める内容です。

「震災が教えてくれたこと〜津波で家族3人を亡くした新聞記者の記録」今野久美子

東日本大震災による津波で家族3人を亡くされた、朝日学生新聞の記者が書いたノンフィクション。東京で地震にあってから、混乱の中で家族がいる仙台市に駆けつけて家族を探す様子や、家族の遺体と対面したときの様子、避難所での出会いなどの筆者自身の経験が綴られています。それと共に、家族への想い、命の尊さ、人々の思いやりや感謝、この震災から得られる教訓について等々が、遺族としての立場と記者としての立場の両方から、素直な言葉で書かれています。小学校高学年から読める内容です。

「翔ぶ少女」原田マハ

こちらは20年前の阪神淡路大震災をテーマにしたお話。あの日の震災で、自分たちの目の前で両親を失ってしまい震災孤児になってしまった3人のきょうだいと、同じく震災で愛する家族を失った心療内科医の「ゼロ先生」。この4人が、震災後、本当の親子と同じように、いやそれ以上に支え合い、痛みを分かち合いながら、決して希望を失わずに力強く生きていくストーリー。ただの悲しい物語ではなく、ファンタジーの要素も加わり、小中学生にとって読み応えのある一冊だと思います。原田マハさんの書くお話は、どれも皆希望に満ちあふれていて、読んだ後に元気になれます。たとえ悲しい震災がテーマの話であろうとも。

「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」佐々涼子

東日本大震災で甚大な被害を受けながら、奇跡とも言われる復興を果たした日本製紙石巻工場のノンフィクション。
テレビ東京の「池上彰のJAPANプロジェクト~ニッポンの底力スペシャル~」でも紹介された、実話をもとにした一冊。「永遠の0」や「ONE PEACE」、「ロスジェネの逆襲」などの人気出版物をはじめ、日本の出版用紙の約4割を担っている日本製紙石巻工場が、どのように震災の混乱から紙の本を守ったのかが綴られています。震災の被害だけでなく、紙の本ができるまでの行程や、ものづくりに人生をかける日本人の想い、仕事に対する誇りなど、この本から多くを学ぶことができます。読み終わると、今手に取っている紙の本がとても愛おしく感じられるはずです。中高生〜大人まで、幅広い世代に読んでもらいたい一冊です。

「絶唱」湊かなえ

イヤミス(=読んでいて嫌になるミステリー)の女王という代名詞を持つ湊かなえが、イヤミスを一切排除して書いた小説が「絶唱」。阪神淡路大震災からちょうど20年となる2015年1月17日に初版が発行されました。南太平洋に浮かぶトンガ王国を舞台に描かれた4つの短編小説集。一見すると震災とは関係なさそうだけれども、4つの短編物語の登場人物は、それぞれ阪神淡路大震災の被災者であり、同時に震災で大切な人を亡くした辛い過去を持っています。トンガ王国で、それぞれの主人公が過去の傷に向き合い、そして癒されていくお話です。死とは何か、生きるとは何か。トンガと日本の哲学の違いから、改めて生と死を考えさせられます。中高生〜大人向け。

「知ろうとすること。」早野龍五/糸井重里

福島第一原発事故後、日本中が大混乱の中で、客観的に今起こっていることを分析し、淡々と事実だけを発信し続けた物理学者の早野さんと糸井さんの対談。題名の通り、「知ろうとすること」「知ること」の大切さを説いています。都合良く誇張されたり、切断された情報に惑わされるのではなく、自分で調べて自分で考えて、正確な事実を知ろうとしなくては、正しく怖がることも正しく安心することもできません。原子力発電をはじめとする物理についても、決して難しい言葉を使うのではなく中高生にも分かりやすい言葉が使われているので、理科系の読み物としても面白いです。情報社会に生きる中高生に是非読んでもらいたい一冊。

「想像ラジオ」いとうせいこう

本屋大賞にもノミネートされたベストセラー作品です。想像力と悲しみが電波となって、生きている者と死んでいる者に届くDJアークによる不思議なラジオ放送。死者が生きている私たちに伝えたいこととは何か、残された者と死んでいった者とをつなぐものとは何かを、DJアークによる軽快な口調で、でもとても深く私たちに問う物語です。東日本大震災から5年が経ち、だんだんと風化しつつある今だからこそ、また熊本で大きな震災が起こった今だからこそ、多くの人に読んでもらいたい作品です。震災後のボランティア活動についても深く考えさせられます。

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