H28年度小田原高校特色検査研究と分析:小田高の特色検査はこう変わった!

2月に受験が終わり、3月は卒塾式準備や新年度準備でなんだかんだと忙しく、3月下旬から4月の初めまでは春期講習やその後の入塾テスト・面談等でバタバタし、ようやく今週から落ち着きを取り戻してきました。塾業界にいる人間にとって、4月・5月は1年のうちで最も時間的にも精神的にも余裕がある時期です。毎年、この余裕のある時期を利用して、今年度の特色検査や入試結果の分析や情報収集に勤しんでいます。

まずは今年度の特色検査の分析から進めていきます。第1弾は、小田原高校の特色です。
昨年度は、我らが神奈川県民が誇る地元紙の神奈川新聞のウェブサイト「カナロコ」に、全ての高校の特色検査の問題と模範解答が公開されていたのですが、今年は何をケチり出したのか、会員登録をしなければダウンロードはおろか閲覧もできないようになってしまいました。

【問題と解答】平成28年度神奈川県内公立高校 特色検査

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今年の小田高の特色はここが変わった!

先に簡単に総括してしまえば、今年の小田原の特色検査は、これまでの小田原高校の特徴である「県下最多を誇る問題数」と「設問形式の多様さ」を踏襲した上で、かなりテイストを変えてきたなという印象です。では何がどう変わったのか。そこから見ていきたいと思います。

文系の割合が全体の75%に

小田原高校は、これまでもどちらかと言うと理系よりも文系の問題の方が多く、文系が得意な人の方が有利でしたが、今年度はこの文系重視にさらに拍車をかけてきました。全設問24問のうち、国語・英語・社会がベースになっている文系よりの問題が18問で、ちょうど全体の75%にあたります。

うちの塾で今年小田原高校を受験した生徒は3名。もちろん3名とも無事合格したのですが、3名中特色検査の開示得点が最も高かった生徒は、学力検査の国語の開示得点でも塾内で1位の生徒でした。一方、国語が苦手で理系に強い生徒は、やはり今年の特色検査では点数が低めに出てしまっていました。

「特色検査は文系が強い生徒ほど有利である」とこのブログでも何度も書いてきましたが、小田原高校の場合は特にそうです。これは後ほど詳しく書きますが、小田高の特色で必要なのは、文系の英国社の知識の強さではなく、言語能力の強さです。

小田高の特色にも技能教科が登場!

教科の縛りがない特色検査では、これまでも他の高校で技能教科からの出題がありました。特に湘南高校では、昨年度の美術、H25年度の音楽など、技能科目にまつわる問題が登場しています。これまで技能科目は一切出題されていなかった小田原高校でも、今年の特色検査では、滝廉太郎の「花」の譜面を答えさせる問題や、英文で説明されたスポーツのルールから、「柔道」や「バレーボール」といった体育の知識を問う問題までありました。

H28年度小田原特色検査 問1(2)より
H28年度小田原特色検査 問1(2)より

もちろんこのような問題に対応するためには、音美技家保体といった技能科目の勉強も手を抜いていてはダメなのですが、小田原高校の特色検査は、それらの知識以上に「柔軟さ」が問われているような気がします。「バレーボール」や「柔道」などは、別に一生懸命保健体育を勉強していなくたって、誰もが一度は見たことのあるスポーツで、基本的なルールくらい誰でも知っています。それを英文で書かれたときに、持ち合わせている知識やこれまでの経験に照らし合わせて、柔軟に答えを瞬時に引っ張り出せるかが問題を解くためのキーなのです。

点と点を線で結ぶ機転や柔軟さ。小田原高校を目指す上では、強化しておきたい力の一つです。

論述問題が大幅に増加:小田高が目指す学力観を物語る

もう一つの目立ったテイストの変化は、論述問題が大幅に増加したことです。私の感覚では、この論述問題の増加こそが、今年の小田原の特色、そしてこれからの小田高が目指す学力観を最も物語っているように思えてなりません。

これまでの小田原高校の特色検査でも、「○○について何字以内で説明せよ」などのような論述問題はありました。しかし今年の小田高の特色検査は、そのような論述とはひと味違います。
その最たる例が、「地産地消」についての討論(ディベート)を英語で読ませた後の、これらの問です。

(2)あなたが考える、地産地消の第3の利点を日本語で書きなさい。また、なぜ地産地消によってその利点が生じるのかを40字以上60字以内で説明しなさい。

(3)「(2)であなたが書いた第3の利点」に対する反論を考え、40字以上60字以内の日本語で書きなさい。

つまり、受検生に特色検査内で「一人ディベート」をさせているのです。
この問題を見た時、以前小田原高校に訪問したときに、前の大嶽校長先生がおっしゃっていた言葉を思い出し、思わずハッとしました。

「これからの国際社会を生きるためには、人と対等に討論ができなければいけません。学生達は討論と言うと、とにかく自分の意見を主張すれば良い、自分の言いたいことを言えば良いと思っているのですが、それは違います。一つの事象に対して一つの意見を主張するのではなく、肯定・否定の両面から物事を見る目を養い、それらを論理性を持って相手に伝える力こそが、これからの社会で生きるために必要な力だと思っています。小田高の生徒には、是非そういうディベート力を全員に身に付けてもらいたいです。」

この時に語っていらっしゃったことを、まさに特色検査の中で具現化されています。自分の意見だけではなく、自分に反する意見も想像し、論理的に説明することで物事を多方面から見ることの重要性を、この問題を通して受検生に訴えているような気がします。これは私の想像にすぎませんが、前の校長先生が一番想いをかけた問題なのではないでしょうか。

これはもう、「国語が〜」「英語が〜」という次元の学力ではありません。論理的に物事を考え、それを言葉にする論理的思考力と、その論理的思考力を支える高い言語能力を備えた上で、日頃から色々な事象について様々な視点で考えてきているかどうかが問われているのです。

残念なことに、特色検査の各設問ごとの正答率や正式な平均点等は公表されませんが、この問題に対して、満足のいく回答を書けた生徒が小田高受検生の何割ほど存在するのかに非常に興味があります。

その他に気がついたこと

申し訳程度にしかない理系問題が、これまた難しい

理系主体の問題は、全24問中たった6問です。セミの標本調査の問題と、温室効果ガスの総量を題材にした一次関数の問題です。たった6問なので、理系で勝負しようとしていた受検生にとっては、圧倒的不利だったでしょう。

しかも、温室効果ガスの総量を題材にした一次関数の問題のラスト2問は、高校で習う「等差数列の和」の知識が必要です。等差数列を習っていない中学生でも解けなくはないのですが(台形の面積の考え方を元に公式を導き出すなどして頑張る)、そこまで試験中に気づくことのできる中学生はほとんどいないでしょう。等差数列を知っていると楽勝なんですけどね。

これはどういう意図で出題されたのでしょうか。高校数学レベルまで勉強しておけということ?それとも、高校数学レベルの公式を、現時点で持っている知識で導き出せということ?きっと後者だとは思いますが、ちょっと小田高を受検するレベルの中学生には酷だったかなと思います。いくら理系が得意でも、この2問は撃沈した生徒が大半だったでしょう。そう考えると、今年の小田高は、文系に弱く理系に強い生徒にとってかなり厳しい問題だったといえます。

資料と設問の順番が逆の方が良かったのでは?

あと、超くだらないことだけれど、問1ーⅡのセミの問題で、資料と設問の順番があべこべでかなり混乱しました。資料1・資料2に続き設問があるので、当然資料1と2を参考に解こうとしてもなかなか解けない。諦めて次に行こうとページをめくったら、なんと解答するのに欠かせない資料3が次のページにありました。これに惑わされた受検生も少なくなかったのではと想像できます。まぁ、くだらないことなんだけど。

まとめ

長々と書いてきましたが、最後まで読んでいただいた人はどれだけいることでしょう(笑)。最後まで読んでいただいたアナタ!お付き合いありがとうございました。

最後に、小田原高校の特色検査にしっかり対応するために、特に必要な5つの力を箇条書きにしてみます。

  • 文系の力。特に英語・国語のような言語に対して高い能力。
  • 知識の点と点を線でつなぐことのできる柔軟性。
  • 一つの物事を多方面から見ることのできる客観性。そしてそれを論ずることのできる論理性。
  • 物事を論ずるための糧となる幅広い知識と思考の経験。
  • 機転(問題数が多いので)。

これらの力は、全て一朝一夕で身に付くものではありません。小田高の特色検査は、小手先だけのテクニックでどうにかなるようなものではありません。入試が近づくと、頻繁に「特色検査はどのように対策すればいいのでしょう?」といった類いの質問メールがたくさん送られてきます。この際なのでハッキリ言いますが、どの問題集をやれば確実に力が付くとか、どの塾の講座を受ければバッチリですというようなモノは一切存在しません。

小さい頃からたくさんの良質な文章に触れて言語能力を高め、主要5教科だけでなく全ての教科の学校の授業のを大切にし、色々なことに興味を持ちつつ知識を吸収し、物事に対して多方面から深く考えること。これらが全て特色検査を解くための糧になっているのであり、これらが全て特色検査の対策と言えるのです。

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