今年はどこが狙われやすい?神奈川県入試理科出題傾向分析2016年度版

2016年1月13日

去年、特に同業者の方(笑)にたいへん好評を頂いた、理科の出題傾向分析の記事。同業者の方以外にも、他塾に通わせている保護者の方にもご参考にして頂いたようで何よりです。うちの塾に通わせていただければもっと何よりなのですが。

少し遅くなりましたが、今年もやります。

神奈川県入試の理科の出題形式

神奈川県の理科は、毎年大問1〜大問8までで構成されています。理科の難易度は年度ごとに激しい変化がありますが、大問構成や出題形式はほぼ固定されています。

大問1:物理小問集合3〜4問
大問2:化学小問集合3〜4問
大問3:生物小問集合3〜4問
大問4:地学小問集合3〜4問
大問5:物理大問
大問6:化学大問
大問7:生物大問
大問8:地学大問

このように、前半部分に物理・化学・生物・地学の小問が登場します。小問は、後半の大問で出題されている内容以外の中1〜中3までの問題が1問ずつ単発で出題されます。それに対して後半の大問は、それぞれの分野でテーマを一つに絞ったものについての出題になっています。

小問集合:単発だが手強い問題が多く登場

まずは前半の単発で出題される小問集合について。2年前に神奈川の理科が難しくなってからは、特にこの小問集合の難易度が上がりました。理科が苦手な人、理科を全単元きちんと勉強してこなかった人は、まずこの小問集合で死にます。

もちろん簡単に解ける問題もあります。ちなみに昨年度の2015年度入試での小問集合は全14問。そのうち、基本的なことを問う問題は私から見て10問。しかし、この「簡単」の定義は、理科をきちんと勉強してきた人にとっては簡単ということであり、中途半端な勉強や知識では、簡単に解ける問題も落としてしまうように作られています。定期テストや基礎的問題集レベルの、誰にでも解けるような「超々基本問題」はあまりありません。この小問集合の問題レベルの難易度が、神奈川県の理科の平均点を下げている要因だと考えられます。

この小問集合を攻略するためには、各単元万遍なく深く勉強するしかありません。小問集合対策だからと、同じような小問集合ばかり勉強しないこと。他の県の大問を単元別に万遍なく解いて、基本をしっかりと固めましょう。勉強が薄い単元がないように。少しでも薄いところは、すぐにこの小問集合でやられてしまいます。

ただ、小問集合は、一問一問単発で出題されるので、1つの問題が分からなくても他の問題には全く影響がありません。もしも全く手も足もでない小問に出くわしたら、潔く捨ててしまうのも1つの手だと思います。

過去10年の後半の大問出題範囲分析

一方、後半の大問4連発は、各大問ごとにテーマが存在します。小問集合とは異なり、このテーマが自分の苦手な単元や理解が薄い単元であれば、一気に大量失点に繋がってしまうのが大問の怖いところです。

去年もやりましたが、今年も過去10年間の大問5〜大問8までの出題単元をまとめてみます。

年度 物理分野 化学分野 生物分野 地学分野
2006年度 中3運動 中2質量保存 中2刺激と反応 中2天気
2007年度 中1光 中2化合 中2だ液実験 中3天体
2008年度 中2電流 中3還元 中1植物 中2天気
2009年度 中3運動 中2酸化 中2動物 中1地層
2010年度 中1光 中3中和 中1植物 中3天体
2011年度 中2電流と磁界 中3イオン 中3自然界 中1地層
2012年度 中3運動 中3イオン 中3遺伝 中2天気
2013年度 中2電流 中2質量保存 中1植物 中3天体
2014年度 中1力+中3仕事 中3イオン 中2だ液実験 中1地震
2015年度 中2電流+中3力 中3イオン 中3遺伝 中1大地+中2天気
※2005年・2008年・2009年の化学の酸化還元は、当時中3の指導要領の範囲(現在は中2の指導要領へ移行)。

このようにして表にすると、各分野で出題される単元に、ある程度のサイクルがあるのが見てとれます。

ここからはあくまでも与太話と思って読んでください。

私の個人的な見解では、まず地学分野は中3天体が来そうですね。もしくは中1の大地をメインに出題してくるとか。化学分野は2年連続イオンが続いてるので、今年もイオンがメインに来る可能性は低いかなと考えられます。中2の質量保存や中1の溶解度などをメインにおいて、サブ的にイオンを出題するという流れで来るかなと。生物分野は予想が難しいですね。サイクル通り順当にいけば中1植物が狙われます。でも、中1植物って、典型的問題ばかりになり、神奈川県が好むような思考力を要する問題を出しにくいんですよね。そういう意味では中2の刺激と反応あたりも臭いのではないかと。物理分野も順当にいけば中3運動が狙われやすいです。でも、中1光もここ最近出題されていないので怪しくもあります。

前置きしたように、これらはあくまでも私の個人的な見解です。サイクルがあるからと、ヤマをはるようなことをしてはいけません。ヤマをはってしまうと、結局万遍なく出題される小問集合で点数が取れなくなってしまいます。そういう考え方もある、程度にしておいてください。

分野間融合、理数融合が神奈川理科の最大の特徴

ここ2年間の難化した神奈川の理科を見てみると、分野間の融合、理数融合の問題が目立ち始めています。分野間融合は上の表からも明らかです。以前は1つの単元からしか出題されていなかった大問が、2年前・昨年度とも2つの単元を融合された問題が登場しています。また、表にはしていませんが、理数融合問題もポツポツと登場しています。昨年度であれば光と相似、力の分解と相似。2年前であれば、濃度と連立方程式、地震と三平方の定理。

これらの分野間融合・理数融合問題は、これからも増えることこそあっても減ることはないでしょう。でも、これは別に神奈川県に限ったことではありません。全国入試問題集を解いている人ならば分かると思いますが、他の都道府県でも分野間・理数融合問題は普通に出題されています。去年の中2電流+中3力の問題なんて、他の都道府県でも頻繁に出題されています。

神奈川の理科に対応する力を付けるためには、全国入試問題を単元別に解きましょう。理科が得意な人、あるいは理科で高得点を取らなければいけない人は、公立だけでなく国立の理科も解くと、非常によい勉強になります。国立の理科は、公立よりも理数融合問題がゴロゴロと出題されているからです。

まとめ

大切なことなのでもう一度言います。定期テストレベルや超基本的な問題集が解けるレベルで甘んじていると、小問集合で死ぬことになります。もちろん大問でも思うような点数が取れず、結果的に平均点と同じような30点台、よくて40点台という悲惨な点数をとってしまうでしょう。模試で理科の点数が良いからと安心している人も危険です。1年で大量に問題を生産しなければいけない模試と、実際の入試問題とでは、問題レベルや質が違い過ぎます。

だからこそ全国入試問題集が効くのです。実際の入試問題を解きながら、原理原則が分かるまで、なぜこの答えになるのか説明できるまで解き直す。これを単元ごとにとにかく繰り返すこと。やっていない単元、解いていない単元がないようにしましょう。それができれば、神奈川の理科は怖くはありません。

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参考:平均点30点台の神奈川の理科で、最低70点以上を取るための勉強法