ニュース作文コンクールにて最優秀賞を受賞!授賞式に行ってきました。

2015年12月8日

この記事でも少し触れましたが、第3回朝日学生新聞ニュース作文コンクールにて、うちの塾生が小学生部門の最優秀賞と佳作2つを受賞しました。その授賞式が12月6日(日)、朝日新聞本社にて行われ、私も参加してきましたので今日はそのご報告です。

入賞したうちの塾生3人と、私と国語講師と。
入賞したうちの塾生3人と、私と国語講師と。

そもそもニュース作文コンクールとは

そもそもニュース作文コンクールとは何ぞやという話から。ニュース作文コンクールは、朝日小学生新聞や中高生新聞の中から自分でテーマにしたいニュースを見つけ、小学生は原稿用紙2枚以内、中学生は原稿用紙2〜3枚以内で、そのニュースについての作文を書きます。朝日学生新聞社と私塾協同組合連合会が主催となっているコンクールなので、私塾協同組合連合会の会員塾でないと、このコンクールに応募できないそうです。応募作品は全部で400作品ほどで、コンクールとしての規模はそこまで大きくはありませんが、塾通いをしている生徒が対象なので、レベルはある程度高いとのこと。

最優秀賞作品

小学生部門最優秀賞

以前も書きましたが、改めてうちの塾生が受賞した最優秀賞の作品を紹介します。

「長寿の秘訣」慧真館小6生 佐藤恵奈

2014年の日本人女性の平均寿命は86.83歳、男性は80.50歳だった。女性は3年連続で世界一、男性は前年の世界4位から3位に上がった。また、表から読みとると、香港の女性の平均寿命は86.75歳で、1位の日本とあまり差がないことが分かる。男性は81.17歳で、香港が1位である。
 日本人の女性が3年連続長寿世界一であることにおどろいた。私も長生きしたいので、なぜ日本人や香港人は長生きするのか、共通点を考えた。
 まず一つ目は、小さい国(地域)であることだ。小さい国(地域)は大勢の人が、せまい土地に住むことになるので、周りの人との助け合いが多くなるからだと思う。そして坂道が多い。歩道も狭いため、人をよけながら歩くことは、かなりの反射神経の鍛錬になる。だから意識をしなくても、日ごろから運動になっているのだと思う。そういう無理をしない適度な運動が、健康な体をつくり、長寿に結びつくのではないかと思う。二つ目は、栄養バランスがとれた食事だと思う。和食や中華料理は、肉よりも魚や野菜が多く、いろいろな栄養を一度の食事でとることができるからだ。
 私の父は、身近な医りょうが長寿につながるのではないか、と言っていた。香港は、漢方薬の店が多くあるそうだ。日本の病院では、いつも患者が多く、混雑している。このように、体の調子をすぐ専門家に相談できることが、長寿につながるのではないか、と言っていた。私もカゼをひくと、すぐ病院へ行くので元気でいられるのだと思う。
 長寿には秘訣がある。私もこの国にいる限り、長生きできるのではないかと思った。

朝日新聞社教育コーディネーターの講評

審査委員を務められた朝日新聞社教育コーディネーターの一色清氏からの講評を要約してみます。

まず、構成がしっかりとしているということ。次に、新聞を読んで、日本と香港との共通点を小学生らしいユニークな発想力で自分なりに考えているということ。大人であれば、日本と香港の長寿の秘訣が、せまい土地に住んでいるので周りの人々と助け合い生きているからとか、坂道が多く歩道がせまいから反射神経の鍛錬になるとか、まず考えません。大人の勝手かもしれませんが、子どもが書く作品には、枠にとらわれない自由な発想を大人は求めています。今回の最優秀賞の作品は、その発想の豊かさを一番感じたとのことです。

中学生部門最優秀賞

つづいて、中学生部門の最優秀作品も紹介します。中学生部門最優秀賞受賞者は、香川県にあるレーゼクライスという学習塾に通う中2生の男子でした。

「ぼくが思うボランティア」レーゼクライス中2生 久保智裕

中学生ボランティア団体NEXUSは、「高校生が参加できるボランティアを企画しよう」と高校生4人で設立した団体である。海岸清掃のほか、海外の災害被災者支援の募金などに取り組んできたそうだ。ぼくは、この記事を読むまでは、『ボランティア』活動には抵抗があった。
 なぜなら、学校で行われている朝の『あいさつ運動』では、ボランティアと言いながらも、部活動の顧問の先生の指示で強制的にしているとしか見えなかったからだ。もし、参加しなければ、先生に起こられるとか友達に嫌味を言われるなどの理由から参加しているのだろう・・・とぼくは思った。だから、大きな声で「おはようございます。」と言われても、全く嬉しいと思わないし、気持ちよく返答する気分にもならなかった。やはり、心がこもっていない言葉は何の意味も持たないと痛感していた。
 このような自己解釈もあったせいか、『ボランティア』とは、自分をよく見せるアピールの一つの手段としか考えていなかった。
 しかし、NEXUSの森野さんの言葉に引きつけられるものがあった。それは、「やらされるボランティアはつまらないので、やりたいことをやったほうがいい。」という一言だった。海をきれいにしたいとう思いで来た高校生が、海岸清掃をする。そして、同じ思いで集まった仲間で友情が芽生える。とても感動的な出来事であると思った。
 ぼくは、今まで『ボランティア』に偏見を持っていたことを反省した。このような地味ではあるけれど、立派な団体があることに興味をひかれた。とは言っても、いきなりボランティアに参加は不安なことばかりなので、いろいろな情報収集から始めたいと思う。
 今は中学生だけど、だんだん大人へと成長していくにあたって、自分以外の人のために何か役立つことをするというのは、素晴らしくてかっこいいと思う。

朝日新聞社教育コーディネーターの講評

久保くんの作文は、満場一致での最優秀賞だったそうです。まず、字がとても丁寧で、誤字脱字が全くない。作文は人に読んでもらうためのものなので、誤字脱字が全くないということが大前提ですが、そこを完璧にクリアする人はなかなかいません。また、背伸びせずに中学生らしい感情の変化を表していることに、非常に好感が持てるとのこと。ボランティアのニュースを読んで、いきなり壮大なボランティア活動をやってみようと計画するのではなく、ボランティアに抱いていたネガティブなイメージが、少しだけポジティブなイメージに変わったという、率直で中学生らしい感想がよかったということでした。

これからの時代に求められる『書く力』とは

今の小学生が大学受験を迎える頃、大学受験は様変わりしています。今とは全く違う物差しで、学力を測られるでしょう。今とは全く違う物差しとは何か。その全体像はまだ誰にも分かりません。しかし一つだけはっきりとしていることは、学校などで学んだ知識を活用して、どのように自己表現をしていくかということが問われる時代がやってきます。つまり、これまで以上に他者に自分の考えを伝える力が問われるのです。

しかし、学校でよくあるように、「部活動のこと」や「友達のこと」、「将来の夢」などのような、『自分の世界』を他者に伝える力が求められるのではありません。そういうことも必要でしょうが、これからの学生が求められるのは、社会で起こっている出来事についてや、ある事象に対しての賛否などを、論理的に文章に表現していく力の方です。

審査委員長を務められた朝日学生新聞社社長もこのようにおっしゃっていました。

「皆さんは、非常にラッキーだと思います。ニュースに対して作文を書く力というのは、これから皆さんがまさに求められることです。小学生の頃から、こういうコンクールを通して、少しずつこのような力を早いうちから磨いていくことは、非常に大切なことです。新聞でなくても構いません。テレビのニュースでも何でも良いのです。色んなことに興味を持ち、そして意見を持ち、それを人に伝えることのできる人になってください。」