メタ認知力を鍛えないと学力アップは難しい:メタ認知力を高めるために実践している4つのこと

2015年5月7日

ゴールデンウィークが終わり、今日から授業再開です。中2生の数学は、4月後半からひたすら連立方程式の計算に取り組んでいます。

計算メインの授業で生徒にいつも言うのは、「計算ミスをしたときに、なぜ間違えたのかだけでなく、自分はどこで間違いをしやすいのかということに視点を置くように。」ということです。授業中に、講師の方から塾生の間違いを指摘することはありません。間違いを指摘するのではなく、「自分がミスをする傾向を知り、どうすればミスを防げるか」を考えさせることを大切にしています。

勉強ができるようになるためには、このように「自分を知る力」が必要不可欠です。自分を知る力とは、自分の行動や性質を客観的な視点からよく観察・分析し、それに対しての対策法を講じる力のことで、難しい言葉でいうと「メタ認知力」と言ったりします。

勉強ができない子は、大概にしてこのメタ認知力が乏しいです。たとえば勉強が苦手な子に、「何が分からないの?」と質問すると、「全部分かりません」と答えたり、「数学!」「方程式!」というように、非常に大雑把な答えしか返ってこない。このような大雑把な答えでも返ってくればまだ良い方で、もっとひどい場合は「どこが分からないのかが分かりません」と言うように、自分が分からないところが分からないということもあります。

なぜこのように大雑把な答えしか返ってこなかったり、自分が分からないことが分からないような状況に陥るのか。それは、「メタ認知力」が鍛えられていないからです。メタ認知とは、「自分は何ができて何ができないのか」「どうすればできるようになるか」を認知するはたらきのことです。つまり、人はメタ認知によって、自分の能力を見きわめ、自己の限界や弱点、不足している部分などを理解することができるというわけです。

ちなみにこのメタ認知力は、才能ではなくてスキルであると言われています。才能は持って生まれたものなのでどうしようもないですが、スキルであれば訓練することによって向上することができます。うちの塾でも、メタ認知力向上を特に重視して指導に当たっているのですが、やはりうちの塾に長く通っている生徒ほど、メタ認知力は発達していきます。

そこで、今日は子どものメタ認知力を鍛えるために、実践していることを書いてみようと思います。塾だけでなく、おうちでも応用できることがあると思いますので、是非参考にしてみてください。

子どものメタ認知力を鍛えるために、塾で実践している4つのこと

安易に教えず、子どもの考え方を尋ねる。

分からない問題を安易に教えずに、まずは「君はどう考えたの?」と尋ねます。それがチンプンカンプンな答えだとしても、「自分はこう考えた」と言える子どもは伸びていきます。メタ認知力が乏しい子は、このような質問をすれば大概黙ってしまいますが、黙ってしまう子に対しては、「じゃあ、考え方を式にして書いてごらん」「図にしてごらん」などと具体的に指示し、「こう考えた」と言いやすいレベルまで落としていきます。

このような問いかけをすると、子どもは「自分はどう考えたのか」を考えなければいけません。自分で自分の考えを客観的に見つめるのです。これを繰り返していくと、少しずつ自分を客観視できるようになり、「どう考えたの?」という問いかけに答えられるようになります。

さらにメタ認知力が高まっていくと、「君はどう考えたの?」という問いかけに対して自分の考えを整理することにより、教えてもらわなくても自分の間違いに気が付くようになります。ちなみにうちの塾に長く通っている子ほど、「これが分かりません」と質問してきたのに、「どう考えたの?」と質問するだけで何も教えていないうちから、「あ、やっぱり分かりました」と自己解決できる子が多いです。

間違いを指摘せず、どうして間違ったのかを考えさせる。

うちの塾で実践している「模試直しノート」、「定期テスト用の間違い直しノート」には、模試や定期テストの勉強で間違った問題に対して、なぜ間違ったのかを考えさせて書かせるようにしています。人から間違いを指摘されるばかりでは、メタ認知力は高まりません。自分でどうすればいいかを考えることによって、客観的な視点が養われるようになるのです。

得意不得意を踏まえながら、受験対策を考える。

受験生には、自分の得意科目不得意科目を踏まえた上で受験対策を考えろと指導しています。

「自分は数学で点数がとれそうもない。だから、得意な英語で点数を稼いで、数学の失点を補えるようにしよう。あ、でも英語だけが点数の稼ぎ頭というのは不安だから、社会も人並み以上にとれるようにしないとな。よし!英語と社会を武器に戦っていくぞ。」という具合です。

自分を正確に分析し、得意不得意を認識しながら、志望校に合格するための対策法を考えること。これなくしては、入試は戦えません。いや、高校受験までは言われたことだけをやっておけばもしかしたら何とかなるかもしれません。でも、それ以上になると確実に無理です。高校受験でも、メタ認知力が高い子の方が非常に有利です。

受験勉強でも、やり方次第でメタ認知力は高まります。

セルフモニタリング

メタ認知力を鍛える効果的な方法のひとつが「セルフモニタリング」と言われています。セルフモニタリングは、自分のとった行動を毎日、箇条書きで記録していきます。そしてその行動記録の中に、何度も繰り返しとっている共通の行動がないかをチェックし、見つかれば、なぜそうするのか、どういうときにその行動を起こしやすいかなどの要因を客観的に分析していくのです。

うちの塾でも、受験期になるとセルフモニタリングをさせています。毎日の自分の行動を記録し、振り返ることによって自分の行動や習慣を分析し、どうしたら勉強時間を増やすことができるか、もっと効率良く勉強できる方法はないかどうかを考え、行動させているのですが、これが非常に効果テキメンです。セルフモニタリングを続けることで、メタ認知が習慣化されることはもちろん、中学生でも自分の弱さや壁と向き合えるようになり、受験が終わる頃には人間的にとても成長しています。