神奈川県限定。意外と知らない併願私立高校の入試システムをズバッと解説。

そろそろ公立・私立ともに学校説明会が盛んになるシーズンだ。また、中学校や塾でも三者面談が始まったりして、この時期から志望校を意識し出す中3生も少なくないだろう。うちの塾でも来週から中3生の進路面談がスタートするが、この時期によくある相談が、「公立高校の志望校は決まっていますが、私立高校はどこを選んでいいのか分かりません」ということ。よくよく話を聞いてみると、私立高校の入試システムが分かっていない受験生や保護者の方が意外に多い。そこで、今日は神奈川県の併願私立校の入試システムについて説明してみようと思う。

併願私立校の入試システム

神奈川県内の私立高校はもちろん、東京都や静岡県などの神奈川県近辺の私立高校の併願入試は、大きく分けて2つの制度が存在することをおさえておく必要がある。それは、

  • ・オープン入試
  • ・確約入試

の2つだ。

オープン入試

オープン入試は、入試当日の筆記試験で合否が決まる入試。もちろん、筆記試験で点数が悪ければ不合格になるし、点数が良かったら合格する。オープン入試は、基本的に誰でも受験できる学校が多いが、一部の難関私立校では「出願資格」というものが存在する。いわゆる足切りみたいなものだ。出願資格は、「内申〇〇点以上」などのように学校成績によって設定されている場合がほとんどなので注意が必要だ。

確約入試

もう一つが「確約入試」(※確約入試という言葉は一般的に定義されていません)。実は神奈川県の場合、オープン入試よりも確約入試の方が圧倒的に多い。確約入試は、各私立高校で設定した「内申基準」を上回っている受験生に対して、入試の前に合格の確約が与えられるシステム。自分が受けたい高校の「内申基準」に自分の内申が達していれば、当日の筆記試験の結果がどうであれほぼ合格する。

確約入試で一つ厄介なことは、それぞれの私立高校の「内申基準」は一般向けには公表されないということ。普通の受験生や保護者が「内申基準」を高校側から聞き出そうと思ってもなかなか難しいが、中学校の先生や塾の関係者であれば、確約入試のための「内申基準」をほぼ入手している。中学校の先生や塾の先生から、「この成績だったら、この併願私立校は大丈夫でしょう」と言われたら、確約入試のための基準に達していると判断して間違いないだろう。

ただし、誤解してはいけないのは、「確約合格」はあくまでも「確約」であって100%合格を保証されているワケではない。酷い場合は内申基準に達していても不合格になるケースもある。10年間の塾講師の経験上、過去に確約を取り消された生徒を1人だけ知っている。

確約入試の内申基準に達していない場合

確約入試でもう一つ注意をしたいことは、各高校の内申基準に成績が1つでも達していない場合、その高校の「確約合格」はほぼもらえないということ。もちろん、「1つくらいだったら大目に見ましょう」という何とも寛大な高校もあることはあるが、あまりアテにしない方がいい。

では、確約入試の基準に自分の内申が達していない場合はどうすれば良いのか。方法は2つある。

  • ・その高校のオープン入試を受ける
  • ・併願私立高校のランクを下げ、確約入試で受かる高校に変える

この2つのうち、一般的なのは2番目の「併願私立高校のランクを下げる」というもの。併願私立は、あくまでも第一志望の公立高校に合格できなかった場合のおさえの高校だ。併願私立さえも不合格になってしまったら、公立高校に不合格になってしまった場合、高校に進学することができなくなる恐れがある。そのため、確約入試で基準が足りなかった併願私立高校を、オープン入試で受験するという受験生は、本当にごく少数に限られる。

どうしてもその併願私立高校にこだわりがあってオープン入試で受験したい場合は、必ず確約入試で合格できる併願入試とのダブル受験をすることをオススメする。確約入試のシステムがない難関私立校にチャレンジする場合も同じ。オープン入試の私立高校+確約入試の私立高校を受験する計画を立てておくことが重要。

併願私立高校の選び方

入試システムを把握したところで、次は併願私立高校の選び方だ。難関私立高校などのオープン入試を受けない場合はほぼ確約入試での合格を目指すと思うので、まずは自分の内申点で合格できる私立高校を絞り込むことから始めよう。

中学校の先生や塾の先生に「どの辺の私立高校なら合格できそうか」を尋ねるのが一番手っ取り早い。その他には、私立高校の合同入試説明会に行って、自分の内申を提示しながら「合格できそうか」を尋ねてみるのも良い。そのとき、私立の先生から「もう少し頑張ってください」と言われたら、今の内申では確約入試の基準に達していないという証拠になる。

確約入試ができそうな高校をピックアップしたあとは、そこから気になる私立高校を2つ〜3つくらいに絞り込んで、実際に高校説明会に足を運んでみる。そして、一番魅力的だと感じた高校を併願私立受験校としよう。

主な公立高校の主要併願私立校一覧

最後に、主な公立高校の主要併願私立校一覧(神奈川県県西地区バージョン)をまとめておく。

湘南高校

慶應系(※オープン入試)、山手学院、鎌倉学園、中大附属横浜、桐蔭学園、桐光学園(※オープン入試)、日大藤沢など

厚木高校

桐蔭学園、桐光学園(※オープン入試)、日大藤沢、山手学院、向上、平塚学園、桜美林(※完全確約ではない)など

小田原高校

日大藤沢、向上、相洋、平塚学園、鎌倉学園など

平塚江南高校

日大藤沢、山手学院、鎌倉学園、平塚学園など

秦野高校・海老名高校

向上、相洋、平塚学園、東海大相模、日大三島など

西湘高校・大磯高校

日大三島、相洋、向上、平塚学園など

以上、併願私立高校選択の指針として、お役に立てれば幸いです。