新入試制度のシュミレーション。内申が低くても実力による逆転は起こり得るか?

2012年10月2日

10月に入り、だんだんと入試の足音が聞こえてくるような気配を感じるようになった(強迫観念によるものかもしれないが)。ウチの塾はどうしてかどの学年も男子が多いため、内申が実力より低めにつけられている生徒が多い。去年までの入試制度だと、内申が低くてもどうにかなったものだが、今年から始まる新入試制度はどうも様子が違う。ということで、今回は新入試制度のシュミレーションをしてみようと思う。

・シュミレーションの設定

神奈川方式の内申135点満点中、A君が120点、B君が110点、C君が100点としよう。で、A君が入試本番で500点満点中の400点をとったとする。内申でA君に劣るB君とC君が、A君に逆転するには入試本番で何点取れば良いか。

新入試制度ではS値と呼ばれる値を使用する。S値は全部で1000点満点。例えば「4:4:2」の学校は、内申400点満点+入試400点満点+面接200点満点に換算されるといった具合だ。今回のシュミレーションでは、面接点200点を除いたS値800点満点で考えていくことにする。

・「4:4:2」の入試割合の高校の場合

4:4:2の場合、内申1点=S値約3点分になるので、A君は約360点、B君は約330点、C君は約300点が内申分の持ち点となる。

入試1点分=S値0.8点分になるので、400点取ったA君の入試の持ち点は320点ということになり、内申の360点と合わせると、A君は面接を除く800点満点中680点のスコアとなる。

これにB君、C君が逆転しようと思った場合、
B君・・・(680点-330点)÷0.8点=437.5点で同点となるので、438点取って逆転。
C君・・・(680点-300点)÷0.8点=475点で同点となるので、476点取って逆転。

・「3:5:2」の入試割合の高校の場合

3:5:2の場合、内申1点=S値約2.2点分になるので、A君は約264点、B君は約242点、C君は約220点が内申分の持ち点となる。

入試1点分=S値1点分となるの、400点取ったA君の入試の持ち点はそのまま400点で、内申分の264点と合わせると、A君のS値は800点満点中664点のスコアとなる。

これにB君、C君が逆転しようと思った場合、
B君=664点-242点=422点で同点となるので、入試で423点取って逆転。
C君=664点-220点=444点で同点となるので、入試で445点取って逆転。

・「5:3:2」の入試割合の高校の場合

5:3:2の場合、内申1点=S値約3.7点分になるので、A君は約444点、B君は約407点、C君は約370点が内申分の持ち点となる。

入試1点分=S値0.6点分となるので、400点取ったA君入試の持ち点は240点で、内申分の444点と合わせると、A君のS値は800点満点中684点のスコアとなる。

これにB君、C君が逆転しようと思った場合、
B君・・・(684点-407点)÷0.6=461.6点で同点となるので、入試で462点取って逆転。
C君・・・(684点-370点)÷0.6=523.3点で同点となるので、入試で523点取っ・・・500点満点の入試では逆転不可能!!。

去年までの入試制度だと、前期選抜で内申が高い受検者が合格していくので、比較的内申が低い生徒ばかりで戦う後期試験では、内申が低くても入試の点数で大逆転勝利という現象が珍しくなかった。A君とC君のように、内申20違う場合でも、A君は前期試験で合格、C君は後期試験で合格というのはザラにあった。

だが、新入試制度のもとでは、内申20の違いはもう致命的と言っていい。上のシュミレーションの通り、「5:3:2」の割合の学校では、内申120点で入試400点のA君に、C君は入試で500点満点とっても敵わないのである。「4:4:2」の割合でも、A君に逆転しようと思ったら、C君は476点というかなりの高得点をとらなければいけない。「3:5:2」でも、ギリギリなんとかなるかというレベル。

新入試制度では旧制度よりも、内申が低い者が実力により逆転合格は起こりにくい制度ということを肝に銘じておかなければならない。