中学生にスマホは必要!?塾講師の見解はこれ

2014年4月22日

今や猫も杓子もスマホを持っている時代。
一昔前は中学生の保護者に対して、保護者会でよく「できる限り子供に携帯電話を持たせないでください。勉強の弊害になるだけですから。」とお願いしたものだが、今は中学生になる前からすでにスマホを子供に買い与えてしまっていることが多くなってしまった。

日頃中学生と接している塾講師だからこそ言えることだが、中学生がスマホを持つ必要性は全くない。むしろ、スマホを持つことによる弊害を嫌というほど目にしてきた。

ということで、今日は中学生がスマホを持つ必要がないという私の見解について書いてみることにする。

防犯としてのスマホは有効か

犯罪に巻き込まれないようにと、小中学生にスマホを買い与える親もいる。
その目的ならば、それこそキッズケータイで十分です。最初から防犯ブザーがついているキッズケータイの方が、スマホよりも防犯になる。
それ以上に、スマホを持っていることが原因で犯罪に巻き込まれるケースの方が圧倒的に多い。
「スマホを持っていなかったから犯罪に巻き込まれた」というニュースはほとんど聞かないけれど、「スマホを持っていたから犯罪に巻き込まれた」というニュースはしょっちゅう聞く。
LINEを介しての援助交際や、クリック詐欺、Twitterでバカな投稿をして逮捕、いじめの現場をYouTubeに投稿などなど、スマホによる犯罪事例が後を絶たないのに、防犯の目的でスマホを買い与えるのは全くもって理にかなっていない。

勉強系のアプリが揃っている・・・?

スマホは勉強系のアプリが揃っているからという理由もよく聞く。
確かに、私のiPadにも日本地図アプリや世界地図アプリが入っているし、このアプリのおかげで、社会が大嫌いな私でも世界の国名と場所はだいたい把握することができた。その他にも、iBookでいつでもどこでも本を手軽に読むこともできるし、調べものをするときも辞書系のアプリはたいへん役に立つ。最近では、スマホで予備校や塾の授業を見るサイトも登場してきているらしい。
しかし、スマホで勉強するのは確かに便利で面白いが、それに頼りすぎるのはどうかと思う。“宿題で分からないことがあれば、自分で考える前にスマホで検索!” “解けない問題は知恵袋で一発解決!” “辞書を引くよりも前にwikipediaで調べる”・・・こんなんで学力が鍛えられるとはとても思えない。スマホが便利であればあるほど、子供は自分で考えなくなる。
さらに、スマホをいじることによって、肝心の勉強の時間が絶対的に短くなってしまう。勉強になるからと買い与えたはずのスマホが、逆に勉強の弊害になってしまうことが大半だ。

スマホを持っていなければ同級生の輪に入れない?

これが親が子供にスマホを買い与えるほとんどの理由だろう。
今や約半数の中学生がスマホを持っていて、同級生同士のコミュニケーションは、ほぼLINEを介してやり取りされている。
「スマホを持っていないと、その仲間に入れず、同級生の話題についていけない。それではかわいそうだから、スマホを持たせてあげよう」と考える保護者の方が多いとは思うが、LINEは別にガラケーでもできるし、パソコンからだってできる。
そんなにLINEがしたいのなら、リビングにあるパソコンで十分させてあげればよいし、スマホでなければいけないという理由もない。

そもそも、「スマホがないから」「LINEをやっていないから」という理由でコミュニケーションが取れないと嘆く子供に、「よしよしかわいそうに」とスマホを買い与えるのが親の役目だろうか。
スマホやLINEが無くても友達と上手くやっていける子に育てることの方が、子供の教育という観点から見るとよほど重要なことに思える。

どうしてもスマホを持たせたいのなら

中学生のスマホは百害あって一利なしというのが私の見解だが、「それでもどうしてもスマホを持たせたい」という保護者の方に、是非守っていただきたいことがある。

ルールをこと細やかに決める。

スマホの使用に関してのルールをこと細やかに決めておくことが重要。中学生は、親の制限がないと本能のままに暴走してしまう生き物だ。特に、スマホなどの「高価でおもしろすぎるオモチャ」は、中学生にとって勉強よりもお手伝いよりも学校よりも魅力的。親の制限がないと、本能のおもむくままにスマホで遊び倒してしまう。

ではどんなルールを決めればよいか。
例えば使用時間。1日3〜4時間もスマホ漬けなんてどう考えてもおかしい。中には、「宿題を先に終わらせてからスマホをさわりなさい」なんていう親もいるが、宿題を先に終わらせればいいってもんじゃない。
夜○時以降は親がスマホを取り上げて一切触らせないなど、子供がスマホから離れる時間を確保したい。

親がアプリ内容を把握

子供がどんなアプリをダウンロードしているか、親は何も知らないし関与もしないのはいただけない。
スマホを持たせるのなら、最低限親がアプリの内容を把握するために定期的に子供のスマホをチェックする。そして、有害なアプリやゲーム系のアプリばかり入っているようなら、速攻で削除しよう。
子供は「自分のスマホを親に見られるなんてあり得ない。プライバシーの侵害だ!」なんてわめき散らすかもしれないが、そもそも親に高額なスマホ代を払ってもらっている時点で、スマホの所有権は子供にはないんだから、プライバシーもへったくれもない。

フィルタリング機能を徹底

フィルタリング機能なしでスマホを持たせるということは、中学生が簡単にわいせつ画像や動画、死体画像や暴力動画など閲覧できる異常な環境に置くということ。常にそんな異常な環境に触れさせてしまう危険があるということ。その状態が思春期の子供の精神発達に良いわけがない。
フィルタリング機能は万全ではない(wifiを使えばいとも簡単にフィルタリング機能が無効になってしまうなど)ものの、全く何もしないというよりも少しはマシだろう。

まとめ

塾講師をやっていると、「子供がスマホばかりいじって、まったく勉強しない。先生、どうすればよいですか?」という相談を受けることがよくある。
その度に、目の前の保護者の方に「スマホを与えると勉強しなくなるのを百も承知で、買い与えたのはいったいどこの誰ですか?」と小一時間問いつめたい衝動に駆られてしまう。

最近の中学生を見ていて思うが、中学生は我々大人が想像する以上に自制心が乏しいと思って良い。
自制心のない子供に対して、好き放題遊べる高価なオモチャを買い与えるとどうなるか、スマホを子供に買ってあげる前に想像してほしい。
きちんと自分で自分を律することができるまでは、中学生がスマホを持つべきではない、というのが私の見解。

それでも、スマホを買ってあげなければいけない状況ならば、親の全責任においてスマホ利用の教育・管理をすればいい。
買い与えるだけ買い与えといて、ネットリテラシーも教えない、スマホ利用の管理もきちんとしないのは、明らかに親の責任放棄だと思う。

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