もしも子どもが「アイドルになりたい」と言ったら、親はどう対応するべきかを考えてみた。

子どもが突然「私、将来はアイドルになってAKBに入りたい」と言い出したら親はどうすればいいのだろうか。もしもその子が親の目から見ても容姿端麗なら話は別だが、まあブサイクというほどでもないけど、至ってフツーな造形をしている場合、親はその子の夢に対してどう対応すればいいか迷ってしまう。

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「夢を持つことはよいことね。AKBに入れるように頑張りなさい。」と、例え可能性が限りなく低いと分かっていても、親として子どもの夢を応援してやるべきなのか。それでもしも子どもが本気になってオーディションを受けだしたり、アイドルには勉強は必要ないからと勉強をやめてしまったら・・・という不安も付きまとう。かといって、「あなたはブサイクという程でもないけれど、アイドルになれるほどかわいくはないのよ。」と現実を突き付けてしまうと、子どもの心に傷を付けることになったりしないだろうかという心配もある。例としてアイドルを取り上げたが、他にも野球やサッカーなどのスポーツ選手、歌手や俳優、お笑い芸人や漫画家なども、親が返答に困ってしまう類いの夢だろう。

私の塾でもかつて、大真面目な顔をして「将来は女優になりたい」と面談で打ち明けた中3生がいた。進路面談の最中だったので、これから勉強や進学の重要性を語るつもりが「女優」ときたので、「だったら早稲田の文学部演劇コースでも目指すつもりで頑張りなさい」と、なかば無理やり勉強にこじつけてしまった苦い経験がある。

さて、子どもがこのような夢を語りだしたら、親はどうすればいいのかということを考えてみよう。

夢は情報の差に左右される

子どもの夢は、子どもが日々触れている情報の差に左右される。幼稚園くらいの子どもにありがちな夢といえば、男の子だったらウルトラマン(古い?)や電車の運転手、女の子だったらお花屋さんやお菓子屋さんが典型的だが、それは幼稚園児が持つ情報がテレビの中のウルトラマンや、いつも食べているお菓子くらいに限定されているからだ。小学校に上がると、子どもの世界はもう少し広がっていくので、それに連れて子どもの夢も、警察官や学校の先生、宇宙飛行士や看護師さん・・・などと変化していく。

普段テレビばかり見ている子どもは、テレビの中の情報を元に夢を持つようになるし、普段熱心にスポーツと接している子は、スポーツの情報を元に夢を持つようになるということだ。逆に言うと、偏った世界の情報しか持たないと、子どもの夢も偏ってしまう。本気でサッカー選手や野球選手などを目指せるくらいの能力のある子は別として、そうでない子どもには、普段から子どもが触れる社会への情報を、大人が意識して増やしてあげることが大切だ。

夢を変えることを勧めてみる

イケダハヤト氏のブログのスマナサーラ長老に「子どもに将来の夢を持たせるべきか」を聞いてみたという記事にこんな一節がある。

毎週将来の夢を書くのは構いません。それはあくまでもイマジネーションで、作文を書いて、考える能力、推測能力を育ててほしいんです。
1月は看護師になりたいと書いた人が、2月には学校の先生になりたいという夢を書く、それでいいんです。「良い夢ですね!」と褒めてあげて「また来月も変えてみましょう」と伝えたらどうでしょうか。

これは目からウロコです。「また来月も変えてみましょう」とはなんと素晴らしいアイデアでしょうか!子どもの夢を頭ごなしに否定するでも、盲目的に絶賛するのでもなく、「また来月変えてみましょう」と促すことで、子どもが将来について考える機会が確実に増える。その間に、親は子どもの情報を広げるべく、社会の仕組みや仕事についての色々な話をしてあげればいいだろう。

いかがでしょうか。
思い返せば自分も小さい頃、夢がコロコロと変わる子どもだった。「教師びんびん物語」を見たら「教師になりたい」と思ったし、「あぶない刑事」を見たら「刑事になりたい」、「振り返ればヤツがいる」を見たら「医者になりたい」と思ったものだった(←全部ドラマの影響)。でも、結局巡り巡って今は塾の講師をしている。ちなみに私の両親は共に学校の教師。私が結局教育の道に流れたのも、幼い頃からの「情報の差」によるものなのかもしれない。