大学受験を控える卒業生へ。大学受験生が絶対に読んでおくべき1冊。

今日は、大学受験を控えるうちの塾の卒塾生に是非読んで欲しい本を1冊紹介したい。笠見未央氏著書の『センター前ヒット センター試験でコケない68の法則』だ。以前、プロの塾講師が選ぶ、マジで子どもに通わせたいおすすめ個人経営塾7選のエントリーでも紹介した、広島県尾道市向島にある開成塾の塾長先生が書いた、大学受験のセンター試験突破のための指南書である。

サブタイトルに「センター試験でコケない68の法則」とあるが、センター試験当日の戦い方というよりは、センターまでの各教科の勉強方法やオススメの問題集とその使い方をとても詳しくまた具体的にアドバイスしてくれている内容になっている。センター試験を直前に控える高3生向けというよりは、これから受験生になる高2生や高1生に是非読んでもらいたい本だ。

大学受験の勉強本の3つの種類

塾や予備校の先生が出版している勉強本の類いには3つの種類がある。
1つ目は、自分の塾をただPRしたいがための内容スカスカのただの自慢話本。この類いの本は、その塾の信者でない限り読む価値はゼロに等しい。

2つ目は、有名予備校講師がこぞって書いている各科目の問題集や解説本。大学受験はこの類いの本が本当に豊富で、どんな田舎の本屋さんでも、大学受験の学参書のコーナーには数えきれないくらいの問題集や解説本が揃っている。自分の能力や志望校レベルに合致した素晴らしい参考書や問題集は、それを解くだけで実力がメキメキと伸びていくが、大学受験の素人である受験生が、膨大な本の中から良書を選定するのは至難の業。それで、表紙から受けるインスピレーションだけで選んでしまったり、先輩が勧めていた本を盲目的に選んでしまったりして、自分のレベルとはかけ離れているものや質の悪いものを選んで失敗してしまう受験生が多い。

3つ目は、和田秀樹氏などに代表されるような「受験の戦い方」を示してくれる指南書。この類いの本は、2つ目の問題集や解説本などのように、各科目の解き方やテクニックを詳しく解説してくれるわけではないが、各科目の効果的な勉強のやり方や問題集の選び方・使い方などを示してくれる。「センター前ヒット」もこの類いの本だ。

大学受験で一番重要なのは戦略

大学受験は、受験までの戦い方、「戦略」をどう立てていくかが最も大切となる。学校や塾の先生の言う通りに、がむしゃらに勉強すれば何とかなるのは高校受験までだ。戦略を立てずして、ただ学校の先生に言われた通りに盲目的に勉強すると、必ず大学受験は失敗してしまう。大学受験当日まで、何の科目を、何を使って、どのようにどれくらい勉強するかという戦略がモノを言う。大学受験の予備校に行く最大のメリットは、予備校でカリスマ先生の授業を受けられるからではなく(今はネットでいくらでも質の良い授業が受けられる)、予備校がある程度受験までの戦略を立ててくれるからである。

「センター前ヒット」の冒頭に

大げさな言い方かもしれないが、本書は「参謀」で、受験生は「大将」である。私は本書を通して受験生の前にひざまずき、目を真正面から見据え、何をどう勉強すればいいか知恵を授け、センターで「コケる」要素を少しでも排除したい。また、参謀は甘い言葉をかけるだけではない。失敗する要素を少しでも排除するため、腹切り覚悟で厳しい言葉も吐く。

とある。「センター前ヒット」のような受験の戦い方を示してくれる指南書は、高橋尚子の小出監督のように、受験生の「参謀」や「監督」となって、志望校までの戦略を示してくれる。小出監督の緻密な戦略がなければ、いくらがむしゃらに練習したところで高橋尚子は金メダルをとれなかっただろう。そういう意味では、2つ目の問題集や各教科の参考書を取り組むよりも、3つ目の指南書を熟読する方がもしかしたら重要だと言える。

現場の生の勉強法が満載

センター前ヒットの著者の笠見先生は、現在もご自分の塾でバリバリ大学受験生を指導されている現役の先生だ。大学受験の勉強本を執筆する先生は大手予備校の先生が多いが、大手予備校は、カメラに向かって授業をする映像授業スタイルや、何十人もの生徒の前で授業するスタイルが中心で、実際に受験生をじっくりと観察しているワケではない。しかし、笠見先生の塾は少人数制の塾なので、生徒一人ひとりと先生との距離が近く、生徒と二人三脚で指導されている。受験生が何でつまづいているか、何で伸びていくのか、大手予備校の先生よりも実に細かく把握されている。

センター前ヒットは、そんなリアルな現場で培われた勉強法が満載だ。国立大志望の生徒が、どうやってセンター英語を伸ばしていったかとか、社会の勉強法がまるで分かっていない生徒が、どうやって社会の点数を伸ばしていったかとか、あるいは真面目に勉強していた生徒がどうして不合格になったかとか、生々しい現場の様子がリアルに書かれている。このようなリアルな勉強法を示している勉強本は実は少なく、そういう意味でも貴重である。

コレを読んでから問題集を揃えよう

また、この本では各教科のオススメの問題集や参考書を事細かに示してくれている。私は駿台予備校に通っていたが、駿台で購入させられる問題集や参考書は当たり前だが駿台のものばかりだ。世の中には、数多くの良質な問題集が出回っている。塾や予備校に縛られるのは実にもったいない。問題集や参考書を揃える前こそ、是非この本を読んでもらいたい。特に英国社の問題集の選び方や使い方は非常に参考になるだろう。

まとめ

今日たまたま塾に修学旅行のお土産を持ってきてくれた厚木高校生に、さっそくこの本を勧めておいた。彼女は、塾や予備校に行かずに、独学で大学受験を目指すつもりだという。特に独学している人に「センター前ヒット」をオススメしたい。繰り返すが、大学受験で最も大切なのは戦略と要領。きっとこの本は彼女の「参謀」となって、まるで予備校や塾に通っているかのように、彼女を志望校まで導いてくれるだろうと思う。